カブトムシの幼虫、さなぎの育て方2018年

虫好きな猫たちのために、ベランダでカブトムシの幼虫を育てる悪戦苦闘の物語

カブトムシの幼虫の季節的垂直移動「屋外幼虫飼育の場合、10月下旬以降はマットの深さは30~40cmは必要」(天国の1匹目(赤)「遅いな~2匹目(茶)、”後からすぐ行くよ”って言ってたのに・・」猫達「2匹目(茶)が冬眠しそうだニャン」2匹目(茶)「ごめんよ1匹目。ベランダから室内へ引っ越した。居心地良いから、もうしばらくこっちにいる!」天国の1匹目(赤)「そんなバナナ!」)

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(ベランダから室内へ引越した2匹目オス(茶)約70mm 羽化後97日目)

1.土壌昆虫の「季節的垂直移動」

カブトムシの幼虫をベランダ等で屋外飼育している家庭も多い。その際、注意してほしいのはマットの深さである。10月下旬以降は30~40cmは必要である。カブトムシは、コガネムシ科(コウチュウ目・コガネムシ科)であり、クワガタはクワガタムシ科(コウチュウ目・クワガタムシ科)である。カブトムシやコガネムシ等のコガネムシ科の幼虫は土壌に生息し、秋と春に「季節的垂直移動」を行う。

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(全て空になった100均で購入したベランダ飼育用ミニケース)

(1)「最低発育限界温度10℃」とカブトムシの幼虫の「季節的垂直移動」

今月上旬は”10月2度の真夏日”(140年間で4回目)があったが、台風が去れば、気温は元の下降トレンドに戻る。秋分(9/23)以降、昼夜の長さは逆転し、昼間の時間は毎日短くなっている。天気予報によると今週末(10/20)、東京の気温は12℃まで下がる。 昆虫一般の最低発育限界温度は10℃である。したがって自然界のカブトムシ等のコガネムシ科の幼虫は、10月下旬になっても雑木林の土壌(腐葉土等)の表層に居たら、これ以上発育は出来ない。発育出来たとしても3齢幼虫になれない可能性がある。秋のうちに1齢幼虫→2齢幼虫→3齢幼虫となって冬の休眠(冬眠)に備えたい自然界のカブトムシ等のコガネムシ科の幼虫にとっては、晩秋(11月)まであと少し発育を続けたいところだ。そのため、自然界のカブトムシ等のコガネムシ科の幼虫は、10月下旬以降、気温の下降トレンドに従って、雑木林の土壌(腐葉土等)の表層から深層へ移り始める。

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(カブトムシ4匹が幼虫時代を過ごした猫達観察用ケース。これをまた再利用)

(2)「コガネムシの幼虫の場合」は、10月下旬以降「地温が14~17℃で、表層の地温が下層の地視より低くなる場合」に下降移動を始める

カブトムシの幼虫は、腐葉土や朽木を食料とし、コガネムシの幼虫は苗木の地下部を加害する。このように、コガネムシの幼虫は害虫として扱われるため各種研究機関による調査結果も豊富に存在する。一方、カブトムシの幼虫は無害虫として扱われるためだろうか?各種研究機関による調査結果は皆無に等しい。しかし、カブトムシもコガネムシも同じコガネムシ科である。そこで、コガネムシの「季節的垂直移動」の調査結果を基に、カブトムシの「季節的垂直移動」を考察してみる。「コガネムシの幼虫の場合」は、10月下旬以降「地温が14~17℃で、表層の地温が下層の地視より低くなる場合」に下降移動を始める。

参考資料1:「コガネムシ類幼虫の生態ならびに薬剤防除に関する研究」によると、『本州において,コガネムシ類幼虫は秋10月ごろより翌春 3 月ころまでの冬季間は,地表より10-20cm の深さに最も多く棲息・越冬しているが, 4 月ころか上方に移動を開始し, 4~9月ころまでは0~10cm の棲息密度が最も高い。かかる幼虫の季節による垂直移動は,幼虫の趨温性によるものと考えられ,春季は地温が10~20℃で,土壌の表層と下層の地温がほぼ等しくなるか,または表層の地温が下層の地温より高くなる場合,上昇移動を開始する。また秋季は地温が14~17℃ で,表層の地温が下層の地温より低くなる場合,下降移動をはじめ,凍結線以下に降下して越冬を行う』という。

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(10年前に100均で購入した古い収納ケースだが、まだ役に立ちそうだ)

(3)「コガネムシの幼虫の場合」は、10月下旬以降の棲息深度は「0~40cm」

また、参考資料1によると、コガネムシの10月下旬以降の棲息深度は0~40cmである。カブトムシの幼虫はコガネムシの幼虫より大きいので、カブトムシの幼虫をベランダ等で屋外飼育する場合は、マットの深さは10月下旬以降は30~40cmは必要であろう。

参考資料1:「コガネムシ類幼虫の生態ならびに薬剤防除に関する研究」によると、『コガネムシ類幼虫の春秋 2 回にわたる棲息深度の変化は,著者らの周年調査においても認められ,10月下旬以降は表土より下方に移動する幼虫数が多くなり ,10~20cmの棲息数が最も多く,ついで 0~10cm および 20~30cm が多く, 30~40cmはきわめて少ない状態で越冬する。春季の上方移動は概して 4月からであるが,温暖な地方または温暖な冬は 3 月下旬から上方に移動を開始し ,0~10cmに多く棲息し摂食加害を行う』 

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 (1匹目オス(赤)が亡くなる直前に”大人買い”してしまったマットを大量投入)

 (4)今週末(10/20)に予想される東京の「各深度の地温」

このように、「コガネムシの幼虫の場合」は、10月下旬以降「地温が14~17℃で、表層の地温が下層の地視より低くなる場合」に下降移動を始める。天気予報によると今週末(10/20)、東京の気温は12℃まで下がる。それでは、今週末(10/20)の東京の「各深度の地温」を予想してみよう。特に「4~9月ころまでは棲息密度が最も高いとされる深度0~10cm」の地温が「14~17℃」になるのか考察してみよう。

9/7ブログ「カブトムシの大きさの秘密③」で考察したように 「地温」は、地表に近いほど「気温」の影響を受け易く、深くなるほど影響を受けにくい。したがって、秋から冬にかけて気温の下降トレンドが続くこの時期は、秋分(9/23)を境に「各深度の地温」は深くなるほど暖かくなる。

参考資料2:「自然教育園内の深度別地温観測 (2010年~2016年)」の国立科学博物館附属自然教育園(東京都港区白金台五丁目)の例では、気温との温度差は、5cm深1.6℃、10cm深2.0℃、30cm深3.3℃、50cm深4.1℃であった。したがって、今週末(10/20)に予想される東京の気温と「各深度の地温」は以下の通りである。

  例:国立科学博物館附属自然教育園(東京都港区白金台五丁目)
2018年10月20日  気温   5cm深   10cm深  30cm深  50cm深
最低(予想)   12.0℃   13.6℃  14.0℃  15.3℃   16.1℃
平均(予想)   15.5℃   17.1℃  17.5 ℃  18.8℃   19.6℃
最高(予想)   19.0℃   20.6℃  21.0 ℃  22.3℃   23.1℃

このように「4~9月ころまでは棲息密度が最も高いとされる深度0~10cm」の今週末(10/20)に予想される最低地温は13.6~14.0であり、これは参考資料1の「地温が14~17℃」に該当する。また「各深度の地温」は5cm深<10cm深<30cm深<50cm深であるから「表層の地温が下層の地温より低くなる場合」にも該当する。やはり今週末(10/20)から、自然界ではカブトムシの幼虫の季節的垂直移動が始まりそうである。 f:id:chart15304560:20181016093902j:plain

(先に亡くなった3匹分の炭木も全て投入。昆虫ゼリーも沢山残っているので投入)

 (5)「季節的垂直移動」の理由=「趨温(すうおん)性」

参考資料1では「幼虫の季節による垂直移動は,幼虫の趨温性によるもの」であるという。「趨性(すうせい)」とは、「生物がある刺激を受けた時に、刺激源に向かって屈曲、あるいは移動する性質」である。したがって、「趨温(すうおん)性」とは、「温かい場所へ向かって屈曲、あるいは移動する性質」である。

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(夜間はカブトムシの活動時間。キッチンペーパーを挟むと掃除の手間が省ける)

(6)「変温動物」である昆虫は「発育」に必要な「外気温」を求めて移動する

生物の「発育」は、体内で起きる「化学反応」であり、「化学反応」の速度は、普通10℃の差で2~3倍変わる。従って、一般的に「生物の発育速度」は「温度」に比例し、10℃上昇するごとに2~3倍に増加する(温度係数Q10=2~3)。気温が1℃上昇するごとに発育や活動に必要な代謝が約10%活発になる。

特に、「変温動物」である昆虫は、「恒温動物」である哺乳類や鳥類と違って、「発育」に必要な「温度」を自ら作り出し調整する事は出来ない。そのため、昆虫の「発育」は、「外気温」に大きく左右される。カブトムシの幼虫の「発育」に影響を与える「外気温」は「地温」であるから、カブトムシの幼虫は、「発育」に必要な「地温」を求めて移動する。

「カブトムシの大きさの秘密③」で述べたように「各深度の地温は、昼夜の長さが等しくなる春分秋分の頃に「表層=中層=深層」となり、「春から夏にかけての気温上昇」に伴い「表層>中層>深層」となり、「秋から冬にかけての気温低下」に伴い「表層<中層<深層」となる。

したがって、カブトムシの幼虫は、「発育」に必要な「地温」を求めて、「春から夏にかけての気温上昇」期は、「深層より温かい表層」へ移動し、「秋から冬にかけての気温低下」期は、「表層より温かい深層」へ移動する。これが土壌昆虫の「季節的垂直移動」の理由である(「趨温(すうおん)性」)。

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(夜間は飼育ケースの中に部屋の照明が差し込まないように段ボールの中へ)

 2.”秋のカブトムシ”の「季節的水平移動」(ベランダから室内へ引越し)

(1)昆虫は一般に気温が10℃を下回ると「発育」や「活動」は困難となる

幼虫は、食料を消化し、「発育」に必要な物質に変える「物質代謝」を行っている。成虫は、幼虫と違ってこれ以上「発育」はしないが、食事・排泄・移動・交尾等の「活動」は行っている。成虫も幼虫も食料を消化し、食事・排泄・移動等の「活動」に必要なエネルギーに変える「エネルギー代謝」を行っている。しかし、昆虫はこのような「物質代謝」「エネルギー代謝」に必要な「温度」を自ら作り出し調整する事は出来ない。そのため、昆虫の「発育」や「活動」は「外気温」に大きく左右される。

昆虫一般の最低発育限界温度は10℃であるから「外気温」が10℃を下回ると「発育」や「活動」は困難となる。カブトムシの幼虫の場合は「外気温」は「地温」であるから「地温」が10℃を下回るとカブトムシの幼虫の「発育」や「活動」は困難となる。カブトムシの成虫の場合は「外気温」は「気温」であるから「気温」が10℃を下回るとカブトムシの成虫の「活動」は困難となる。

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(炭木に”登る”と言うより、”ぶら下がる”のが精一杯の2匹目オス(茶))

 (2)”秋のカブトムシ”のベランダから室内へ引越し(「季節的水平移動」)

上記の通り、今週末(10/20)から、自然界ではカブトムシの幼虫の「季節的垂直移動」が始まりそうである。カブトムシの幼虫は10月下旬から「発育」に必要な「地温」を求めて土壌の表層から深層へ移動する。

ベランダ飼育の”秋のカブトムシ”である2匹目オス(茶)も、「気温」が10℃以下に下がると、食事や排泄等の「活動」が出来ずに死んでしまう。そこで今週から「活動」に必要な「気温」を維持するために、2匹目オス(茶)をベランダから室内へ引越した。カブトムシの幼虫の「季節的垂直移動」に例えるならば、”秋のカブトムシ”の「季節的水平移動」である。

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(左後ろ足が宙に浮いている2匹目オス(茶)。左後ろ足が不調のようだ)

(3)2匹目オス(茶)の様子

1匹目オス(赤)は、10/9に羽化後95日目で寿命が尽きた。2匹目オス(茶)は、今日(10/16)で羽化後97日目を迎えた。したがって、1匹目オス(赤)より2日寿命を延ばしている。但し「毎日の健康診断チェック」では、半分、アラートが出ている状態だ。食も細り、左後ろ足も不調のようだ。ベランダから室内へ引越したといっても最低気温対策に過ぎない。1匹目オス(赤)のように、いつ生命反応を停止してもおかしくない状態だ。

①夜間は、マットの上に出て活動していること(食事・排泄など)⇒〇。
②木にしがみつく力が強いこと(体力)⇒△。
③日中は、マットの下に潜っていること(休息・太陽光や熱の遮断)⇒×。

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(天国の1匹目(赤)「遅いな~2匹目(茶)、”後からすぐ行くよ”って言ってたのに・・」)

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(2匹目オス(茶)「ごめんよ1匹目。ベランダから室内へ引っ越した。居心地良いから、もうしばらくこっちにいる!」)

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(天国の1匹目(赤)「そんなバナナ!」) 

参考資料1:「コガネムシ類幼虫の生態ならびに薬剤防除に関する研究」

      (林業試験場研究報告第 91 号)

森林総合研究所研究報告 (1-100)

参考資料2:「自然教育園内の深度別地温観測 (2010年~2016年)」

研究と標本・資料 ≫ 学術出版物 :: 国立科学博物館 National Museum of Nature and Science,Tokyo

”秋のカブトムシ”散る(気象庁「10月最高気温の記録更新、季節外れ猛暑、新潟で36度。東京の10月真夏日2日は1875年観測開始以来140年余りで今年で4回目(1915年、2013年、2016年、2018年)」9月中旬以降バナナで延命し”10月の真夏日”を2度乗り越えたベランダ飼育のカブト達。そのうち1匹目オス(赤)の寿命がとうとう尽きた。羽化後95日目だった(10/9)。最期は外傷もなく美しい姿であった)

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(1匹目オス(赤):約50mm、蛹化6/20、羽化7/6、後食7/14、死亡10/9)

前回(10/6)、「カブトムシは日々の温度変化ではなく、より正確な日々の日長(光周期)の変化を手掛かりに、これから訪れる季節(樹液が枯れ、寿命が尽きるタイミング)を推し量る。したがって、昼夜の長さが逆転する秋分(9/23)を境に、”秋のカブトムシ”の寿命はいつ尽きてもおかしくない」と述べた。

そこで、寿命が近づく”秋のカブトムシ”達のために、この3連休、時間を見つけて出来るだけのことはしてやろうと思ったのだが・・。

9月中旬以降バナナで延命し、”10月の真夏日”を2度乗り越えたベランダ飼育のカブト達。そのうち、1匹目オス(赤)の寿命がとうとう尽きた。羽化後95日目だった(10/9)。最期は外傷もなく美しい姿であった。

1匹目オス(赤)はエサをバナナに変えてからの回復が目覚ましく、9/29には「コバエ防止用キッチンペーパー」を破り飼育ケースから脱走するほどに回復した。そのため、前回(10/6)述べたように最近はむしろ2匹目オス(茶)の方を心配していた。死亡前日も1匹目オス(赤)は2匹目オス(茶)より非常に元気な様子だった。このように「昼夜の長さが逆転する秋分(9/23)を境に、”秋のカブトムシ”の寿命はいつ尽きてもおかしくない」。

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(1匹目オス(赤)蛹化6/20)      ⇩

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(1匹目オス(赤)羽化7/6)       ⇩

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(1匹目オス(赤)後食7/14)

1.”秋のカブトムシ”が散る3日前の風景(10/6)

(1)10月最高気温の記録更新、季節外れ猛暑、新潟で36度

季節外れ猛暑、新潟36度 10月の国内最高気温更新 :日本経済新聞

「台風25号の影響で暖かい空気が流れ込み、新潟県三条市で6日午後2時40分ごろに36.0度を観測した。季節外れの猛暑日(35度以上)となり、10月の国内最高気温の記録も更新した」

(2)”10月2度目の真夏日”に備え、”大人買い”してしまったバナナ15本

台風24号の通過後、東京は季節外れの真夏日(最高気温32.3度)を迎えた(10/1)。次にやって来た台風25号は日本海に沿って北上したので、新潟で10月の国内最高気温を記録した(10/6)。翌日には東京も再度、季節外れの真夏日になるという。

そこで”10月2度目の真夏日”を乗り越えてもらおうと、”秋のカブトムシ”達のためにバナナの買い足しに行ったのだが・・近所の八百屋には熟れたバナナ3房(15本)しか無かった。全部で105円だったのは良いが量が多すぎるのだ。最近よくバナナを買いに行くので、八百屋が好意でカブト達のために余り物を用意してくれたのだろうか?買った時は「二匹でバナナ15本」を食べきれるか悩んだが、1匹目オス(赤)が居なくなった今となっては「一匹でバナナ15本」となってしまった。

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(”大人買い”してしまったバナナ。「一匹でバナナ15本」は流石に無理だろう)

(3)バナナの保存方法

バナナの保存方法はいろいろあるが、「理由」と「対策」が一番単純明快であったので以下を参考にした。

バナナの保存方法。ラップやビニール袋で覆って冷蔵庫が一番長持ち。 | やまでら くみこ のレシピ

①冷蔵庫の野菜室に入れる(バナナの呼吸をおさえる)

「バナナを冷蔵庫の野菜室に入れると、バナナの呼吸をおさえることができるので、日持ちするようになる」

②柄の部分をラップで巻く(エチレンガスを放出するのをおさえる)

「バナナが熟すのは、バナナ自体が出す成長ホルモン「エチレンガス」が原因です。バナナの柄の部分をラップで巻くと、バナナがエチレンガスを放出するのをおさえることができます」

③バナナ全体にラップ(他のバナナが出すエチレンガスの吸収をおさえる)

「さらにバナナ全体にラップをすると、まわりにあるバナナや他の食品(りんごなど)が出すエチレンガスの吸収をおさえることができます。2段階に分けてラップで包むと、バナナがエチレンガスに触れにくくなるので、熟し過ぎを防げる」

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(猫たちは部屋の掃除中に毎朝鬼ごっこをする。カブト達も飼育ケースの掃除中に毎朝鬼ごっこをしていた)

2.”秋のカブトムシ”が散る2日前の風景(10/7)

(1)東京の10月真夏日2日は1875年観測開始以来140年余りで今年で4回目(1915年、2013年、2016年、2018年)

東京の”10月2度目の真夏日”は140年間で4回目。そのうち、3回が2013年、2016年、2018年と過去6年間に集中している。これは地球温暖化の顕在化なのだろうか?

東京都心で真夏日 10月最多に並ぶ(日直予報士 2018年10月07日) - 日本気象協会 tenki.jp

気象庁の気温の観測記録は1875年からありますが、この140年余りで10月に30度以上の真夏日を観測したのは昨日までで15日。近年はやや多い傾向といえますが、10年に一度くらいの割合で、珍しい記録です。なかでも2度あった年は、今年で4回目で、過去1915年10月8日に30度5分、10月9日に31度3分。2013年10月11日に30度2分、10月12日に31度3分。2016年10月4日に32度0分、10月6日に31度3分。今年が10月1日の32度3分ときょう(7日)の30度到達(上昇中)です。10月に真夏日が3回以上あったことはありません」 f:id:chart15304560:20181010210212j:plain

(マット交換を待つ間、2匹目オス(茶)を追いかけまわす1匹目オス(赤))

(2)”10月2度目の真夏日”に備え、”大人買い”してしまった成虫用マット5ℓ

この時期、幼虫用マットが主流で成虫用マットを販売しているショップは少ない。昨日(10/6)ようやくあるペットショップで「コバエがいやがる昆虫マット 」5ℓを見つけたので、1か月ぶりにマット交換を行った。

今年初めて使ったマットだが「ヒノキに含まれる天然素材成分が飼育中に寄りつくコバエを抑えます。抗菌性に優れ、ダニを抑制して快適な飼育環境をつくります」という説明通りの効果を発揮してくれた商品だ。

買った時は「二匹で成虫用マット5ℓ」を消費できるか悩んだが、1匹目オス(赤)が居なくなった今となっては「一匹で成虫用マット5ℓ」となってしまった。

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 (カブトムシは湿度の高い場所に生息するので、マットは加湿してからセット)

3.”秋のカブトムシ”が散る1日前(10/8)の風景

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(普段は通り過ぎるだけの近所の公園。積み重なる落葉は秋の気配)

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(見上げると山桜が一本。落葉が舞い散る様子が”秋のカブトムシ”と重なる)

f:id:chart15304560:20181010004645j:plain(落葉に誘われ公園の中へ。”10月真夏日”のせいか、まだ緑が濃いようだ) 

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(背の高いスギ科のメタセコイアの一角を抜けていく) 

f:id:chart15304560:20181009135650j:plain(唯一紅葉していたのは、ここだけのようだ) 

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(公園の奥にはこのようなクヌギやコナラの一角が四か所もある。実家の近所の雑木林の4倍の広さはある。しかし、毎年夏にカブトムシやクワガタを見たことはない。カナブンさえ一匹も見たことは無い。樹液が出ないのだ) 

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(足元にはクヌギやコナラの木の実。家族連れ3組が”どんぐり”拾いに夢中だ)

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(先日の台風24号では東京も暴風雨だった。だから、枝つきの”どんぐり”も多い)

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 (家族連れに袋をもらって、持ち帰った”どんぐり”。「団栗の背比べ」) 

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  (”秋のカブトムシ”達へのお土産にしてみたが、特に変わった反応はない)

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 (2匹目オス(茶)より元気な1匹目オス(赤)。翌日寿命が尽きるとは思えないほど目が輝いている)

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 (1匹目オス(赤)より元気が無い2匹目オス(茶)。すぐ後を追いそうだ) 

4.”秋のカブトムシ”が散った当日(10/9)の風景

もしかしたら、1匹目オス(赤)はクヌギやコナラの木の実”どんぐり”を見て「やはり、もう秋なんだ」と再度悟って散って行ったのかもしれない。そうだとしたら1匹目オス(赤)より元気が無い2匹目オス(茶)も、すぐに後を追うだろう。

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(今となっては1匹目オス(赤)が散る直前に、クヌギやコナラの木の実”どんぐり”を見せてあげられて良かったかもしれない)

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(今となっては1匹目オス(赤)が散る直前に、新しいマットに交換しておいて良かったかもしれない)

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(上:1匹目オス「先に行ってるよ」下:2匹目オス「後からすぐ行くよ」)

猫とカブトムシ⑥「”Dr.ネコ”による”秋のカブトムシ”の健康診断」(カブト達「バナナで元気になりました!」Dr.ネコ「バナナにはいろいろな糖質が含まれていて、体内に吸収される時間がそれぞれ違うから、エネルギー補給が長時間持続するの。それと、樹液の白い部分。あれはタンパク質なんだけど、バナナにも沢山含まれてるの。”鍵爪の欠損”は無さそうね。あなた達の体、バナナまみれだけど・・」カブト達「そんなバナナ・・」)

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(近所の図書館で見つけた「樹液」の本。非常に貴重な本だと思います)

1.「秋分」と「光周期」

(1)自然は、「秋分」(9/23)に照準を合わせ、真夏(8月)の「日平均気温」を正確に「年平均気温」に戻そうとする。

よく「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、例年、夏の暑さは秋の彼岸の頃まで続く(今年は9/20~9/26)。しかし、秋の彼岸が過ぎる頃にはすっかり涼しくなる。自然は、昼夜の長さが同じになる秋分(9/23)に照準を合わせ、真夏(8月)の「日平均気温」を正確に「年平均気温」に戻そうとする。

①例えば、東京の平年気温(1981~2010 年の30年平均値)で見ると、真夏(8月)の「日平均気温」(26.4℃)は、秋分に照準を合わせて11℃急降下し、秋の彼岸が過ぎる頃には「年平均気温」(15.4℃)に落ち着く。

②今年も、東京の真夏(8月)の「日平均気温」(28.1℃)は、秋分に照準を合わせて12.2℃急降下し、秋の彼岸の翌日(9/27)には15.9℃に落ち着いた。これは、平年気温(1981~2010 年の30年平均値)の「年平均気温」とほぼ同じ(15.9℃≒15.4℃)。見事というほかに言葉は見つからない。

 (2)自然は、「日長(光周期)」を手掛かりに、これから訪れる季節を、生物に正確に予測させる

秋分」(9/23)を境に昼夜の長さは逆転する。このように日長(光周期)は、年によって変わることなく正確に一年の周期で変化するため、季節を知るにはもっとも信頼のおける信号となる。

生物が日長(光周期)の季節的な変化に反応して物質代謝・発育・生殖・行動などを調節する性質を「光周性」という。例えば、動物の行動でよく知られているものに、鳥の渡り、魚の回遊、動物の毛変わり、昆虫の冬眠などがある。植物では花芽の形成、落葉、休眠などがある。生物は、日々の温度変化ではなく、より正確な日々の日長(光周期)の変化を手掛かりに、これから訪れる季節を予測する。

秋分(9/23)を過ぎると、昼夜の長さが逆転し、日照時間もぐっと下がる。そのため、クヌギやコナラ等の樹木は実を落とし、紅葉し、やがて落葉する。光合成によって生成される樹液は当然枯れ果てる。だから、晩夏になって初めて実家の庭先に現れるような大型のカブトムシも、秋の彼岸の頃には寿命が尽きていく。 

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秋分の日を境に、昼夜の長さが逆転したことを感じとるベランダのカブトムシ)

2.秋のカブトムシの寿命

(1)日長(光周期)の変化を手掛かりに、寿命が尽きるタイミングを推し量る

このように、自然は、「秋分」(9/23)に照準を合わせ、真夏(8月)の「日平均気温」を正確に「年平均気温」に戻そうとする。そして、自然は、「日長(光周期)」を手掛かりに、これから訪れる季節を生物に正確に予測させる。

自然界のカブトムシも、真夏(8月)の「日平均気温」が「年平均気温」に戻る前に、生殖・産卵を終える必要がある。そのため、昼夜の長さが逆転する「秋分」(9/23)を事前に予測する必要がある。日々の温度変化ではなく、より正確な日々の日長(光周期)の変化を手掛かりに、これから訪れる季節(樹液が枯れ、寿命が尽きるタイミング)を推し量る。

 ベランダ飼育の2匹のカブトムシも、日々の日長(光周期)の変化を手掛かりに、寿命が尽きるタイミングを推し量っていたのだろう。2匹共、9月中旬頃から急速に衰弱していった。

(2)秋分を境に、「秋のカブトムシの寿命」はいつ尽きてもおかしくない

今朝、1匹目オス(赤)が羽化後92日目を迎えた。2匹目オス(茶)も羽化後87日目を迎/えた。8/21ブログ「カブトムシの寿命が尽きる時期」で述べたように、3匹目オス(黒)は羽化後37日目で寿命が尽きた。4匹目メス(羽化不全)は羽化後33日目で寿命が尽きた。

先に寿命が尽きた2匹が短命だったので、その分、残りの2匹は長生きしているのかもしれない。敬老の日(9/17)を境に、エサを栄養価の高いバナナに切り替えた結果、延命しているのかもしれない。

しかし、既に、秋分(9/23)を境に、昼夜の長さは逆転している。秋が深まるにつれ、いつ寿命が尽きてもおかしくない。

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(下:一匹目オス(赤)羽化後92日目、上:二匹目オス(茶)羽化後87日目)

3.「Dr.ネコ」の優れた観察力 

2匹の猫(兄妹)のうち、白い方の猫(メス)は、非常い観察力が優れているため、「Dr.ネコ」と呼ばれることがある。

例:6/5、カブトムシの幼虫がマットの上に出ているのを教えてくれた。
例:6/20、カブトムシの幼虫が前蛹になったのを教えてくれた。
例:7/12、カブトムシの羽化したサナギの抜け殻を掘り出し教えてくれた。
例:7/20、カブトムシの成虫が脱走した事を教えてくれた。
例:8/9、カブトムシ(メス)に「鍵爪の欠損」があることを教えてくれた。

4.「Dr.ネコ」による「夏のカブトムシ」の健康診断(8/9)

8/9ブログ「台風一過のカブトムシの様子」  で述べたように、「Dr.ネコ」は、4匹目メス(羽化不全)の左足2本に「鍵爪の欠損」があることを教えてくれた(その6日後の8月15日に「羽化不全のメスの寿命が尽きた」と自宅から連絡が入った。羽化後33日目だった) 

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 (「Dr.ネコ」の目線の先。左側の2本の足に「鍵爪の欠損」が見つかった)

5.「Dr.ネコ」による「秋のカブトムシ」の健康診断(10/2)

敬老の日(9/17)を境に、エサを栄養価の高いバナナに切り替えた。その結果、1匹目オス(赤)は、コバエ防止用キッチンペーパーを破るほど体力が回復した。しかし、2匹目オス(茶)は、1匹目オス(赤)のように、体力が回復していない。どこか具合が悪いのだろうか?そこで、今回も「Dr.ネコ」に診てもらった。

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(カブト達「お久しぶりです。バナナで元気になりました!」)

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(Dr.ネコ「バナナにはいろいろな糖質が含まれていて、体内に吸収される時間がそれぞれ違うから、エネルギー補給が長時間持続するの」) 

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(Dr.ネコ「それと、樹液の白い部分。あれはタンパク質なんだけど、バナナにも沢山含まれてるの」)

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(Dr.ネコ「”鍵爪の欠損”は無さそうね。あなた達の体、バナナまみれだけど・・」)

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(カブト達「そんなバナナ・・」)

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(Dr.ネコの助言に従って、バナナまみれのカブト達をウエットティッシュで拭いてやると、2匹目オス(茶)の右後ろ足に「擦り傷」が見つかった) 

参考資料1:「旬の果物百科 バナナ(ばなな)の栄養価と効能」

バナナ(ばなな)の栄養価と効能:旬の果物百科

参考資料2:「樹液をめぐる昆虫たち」 

樹液をめぐる昆虫たち (わたしの昆虫記)

樹液をめぐる昆虫たち (わたしの昆虫記)

 

カブトムシの大きさの秘密⑤「”温度ーサイズ則””ベルクマンの法則”の視点で見る”太古の地球温暖化PETM”」(研究者「地球上のすべての化石燃料が燃やされると、地球の平均気温は2300年までに8℃上昇する」「5500万年前の温暖化では、数千年の間に甲虫類などの大きさが50~75%小さくなっていた」「昆虫類などの変温動物は温暖化の影響をダイレクトに受ける。気温が摂氏1度上がるごとに代謝が約10%活発になり小型化する」)

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(毎年、秋分の頃の気温は年平均気温に近づく。釣りシーズン到来だ)

 1.「昆虫の高温障害」

(1)「世界の大型のカブトムシ」は「高地性種」

「カブトムシの大きさの秘密④」で述べたように、「世界のカブトムシ」の中でも「世界最大」「アジア最大」と呼ばれる「世界の大型のカブトムシ」は、「高地性種」と呼ばれ、熱帯地方でも「標高が高く涼しい場所」(標高1000〜2000mの高山帯や熱帯雨林)に生息している(一方、同じ熱帯地方でも「小型種」は「平地性種」と呼ばれ、「標高が低く暖かい」平地に近い場所に生息している)。

①「中南米ヘラクレスオオカブト属 」の「大型種」の主な生息地であるアンデス山脈(最高標高6000m以上)は、富士山(最高標高3775m)を軽く越えるため、頂上付近には氷河が発達している。
②「東南アジアのアトラスオオカブト属」の「大型種」の主な生息地であるスマトラ島(最高標高3,805 m)やジャワ島(最高標高3,676 m )は、富士山(最高標高3775m)並みの高さがある。
③標高2000m以上に生息地が少ない理由は、エサ(樹液や果実)を産出する寄主植物(広葉樹林)が標高2000m以上に少ないためと推測される(例:日本の八ヶ岳連峰(最高標高2899m)は標高1,700 m以下が広葉樹林、標高約2,500 m以下が針葉樹林)。

  (2)「高地性種」は暑さに弱い(夏はエアコンによる低温飼育が必要)

①「中南米ヘラクレスオオカブト属 」の「大型種」

例:ヘラクレスオオカブト(大体18℃~28℃前後)標高1000〜2000mの高山帯
例:ネプチューンオオカブト(大体18℃~24℃前後)アンデス山脈熱帯雨林
例:サターンオオカブト(大体18℃~24℃前後 )標高1000 - 2800mの熱帯雨林

wikipedia(フリー百科事典)によると「高地性のカブトムシ全般に共通の傾向として、幼虫・成虫共に平地性種より更に暑さに弱い」「大型になる亜種、また大型の個体は標高1000〜2000mの高山帯にしか見られない」

②「東南アジアのアトラスオオカブト属」の「大型種」

例:コーカサスオオカブト(大体15℃~20℃前後)標高800-2000mの熱帯高地林

wikipedia(フリー百科事典)によると「元の生息地は赤道付近であるが、標高の高い涼しい森林に生息するため暑さには弱く、大体15℃~20℃前後が適温とされている。故にクーラー等の温度管理無しで日本の夏を越すのは厳しい」

(3)「世界の大型のカブトムシ」は「昆虫の高温障害」になりやすい

このように「幼虫・成虫共に平地性種より更に暑さに弱い」「クーラー等の温度管理無しで日本の夏を越すのは厳しい」といわれる「世界の大型のカブトムシ」を、夏の最高気温が35℃を連日超える日本で飼育する場合、「熱帯地方に生息するから」といって、「日本のカブトムシ」と同じようにベランダや庭先の日陰で「屋外飼育」すると「昆虫の高温障害」になりやすい(すぐ死んでしまう。死ななくても寿命は極端に短くなる。産卵しなくなる。産卵しても孵化しなくなる。孵化してもすぐ死んでしまう)。 

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東京スカイツリーからの定期便。水陸両用バス「SKY Duck」。左手が川の駅) 

2.「地球温暖化」による「昆虫の高温障害」

このような「昆虫の高温障害」が、飼育ケースの中ではなく、「地球温暖化」により、生息地(標高1000〜2000mの高山帯)で発生したらどうなるだろう? 

(1)選択肢(「生息できる場所への移動」「その場所での適応・進化」)

参考資料1:「昆虫の温度反応と分布域の変化」によれば、『変温動物である昆虫は温度の変化に極めて敏感である。環境変化が許容範囲を超える場合,「その場所での適応・進化」 ,「生息できる場所への移動」のいずれかで対応ができなければ,「絶滅」することになる』という。

(2)「環境変化が許容範囲を超える場合」とは、

「環境変化が許容範囲を超える場合」とは、「外気温」が「発育有効温度帯」の「最高発育限界温度」を超え、「致死温度」(「最高発育限界温度」+5℃)に迫ることである。

(3)発育有効温度帯

「変温動物」である魚類や昆虫類は、「恒温動物」である哺乳類や鳥類と違って、「発育」に必要な「温度」を自ら作り出し調整する事は出来ない。そのため、「変温動物」である昆虫の「発育」は、外気温に大きく左右され、昆虫の「発育」には「発育に有効な一定の温度の範囲」(有効温度帯)が必要とされる。それより高い温度帯や低い温度帯では発育できない(最低発育限界温度~最高発育限界温度)。

(4)最低発育限界温度(一 般に10℃以上)

昆虫は一 般に10℃以上の気温で発育し、それ以下では発育できない。10℃以下の気温になると発育を停止し、冬眠状態に入る。なお、具体的な「最低発育限界温度」は、各種昆虫の個体群ごとに異なる。

(5)最高発育限界温度(一 般に35℃以下)

昆虫は一 般に35℃以下の気温で発育し、それ以上では発育できない。35℃以上の気温になると発育を停止する。なお、具体的な「最高発育限界温度」は、各種昆虫の個体群ごとに異なる。

(6)「昆虫の高温障害温度帯」(35℃以上)と「昆虫の致死温度帯」(42~50℃)

昆虫は一 般に35℃以上の気温では「昆虫の高温障害」になりやすい(すぐ死んでしまう。死ななくても寿命は極端に短くなる。産卵しなくなる。産卵しても孵化しなくなる。孵化してもすぐ死んでしまう)。また、「昆虫の致死温度帯」(42~50℃)では昆虫種の90%が死亡すると言われている。

参考資料2:「日本産昆虫、ダニの発育零点と有効積算温度定数:第2版」によれば、『高温による生理的障害である孵化率や羽化率の低 下、成虫寿命の短縮、産卵数の減少などが、最短発育温度の付近や、それより下回る高い温度域でも見られる。 また、最短発育温度を2~3℃上回っただけで飼育中の 個体が全部死んだり、成虫になっても産卵能力がなかっ たりする。Mason and Strait (1998)によれば、多くの 昆虫種は最短発育温度をわずか5℃上回るだけで致死温度になる。42~50℃に数分から数時間暴露することで 90%の死亡をもたらすという』

(7)低緯度地域に生息する昆虫類は温度適応の幅は狭い (絶滅リスクが高い)

参考資料2:「日本産昆虫、ダニの発育零点と有効積算温度定数:第2版」によれば、『カリフォルニア大学の研究チームは、低緯度地域に生息する変温動物、とりわけ昆虫類は温度適応の幅が狭く、それゆえ気温上昇につれて適応度が減少しやすく、 絶滅リスクが高いことを警告している(Deutsch et al., 2008)』という。

「世界の大型のカブトムシ」の飼育温度は、以下の通りである。 

例:ヘラクレスオオカブト(大体18℃~28℃前後)
例:ネプチューンオオカブト(大体18℃~24℃前後)
例:サターンオオカブト(大体18℃~24℃前後 )
例:コーカサスオオカブト(大体15℃~20℃前後)

一方、日本のカブトムシの飼育温度は昆虫一般の有効温度帯(最低発育限界温度10℃~最高発育限界温度35℃)にほぼ該当する。例えば、現在飼育している2匹の日本のカブトムシはベランダ飼育なので成虫になってから経験している外気温は最低気温14.1℃(9/28)~最高気温39℃(7/23)である。一応、日陰で飼育しているので、約15℃~35℃の範囲内であろう。これは昆虫一般の有効温度帯(最低発育限界温度10℃~最高発育限界温度35℃)にほぼ該当する。

以上から、低緯度地域に生息する「世界の大型のカブトムシ」の温度適応の幅は、中緯度地域に生息する日本のカブトムシよりかなり狭いことがわかる。

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(魚の夕食時(夕マズメ)。15時54分、キチヌ(キビレ)の未成魚、約13㎝)

3.「地球温暖化」に伴う「生物の絶滅」の割合

「国立環境研究所 地球環境研究センター」(温暖化と生物の絶滅)によれば「地球温暖化」に伴う「生物の絶滅」の割合は以下の(1)~(3)の通りである。

 (1)地球の気温が1〜3°C上昇すると生物種の20〜30%が絶滅の危機

『2007年に公表された気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)第4次評価報告書では「地球の気温が1〜3°C上昇すると生物種の20〜30%が絶滅の危機に瀕する」と予測されました。一方、最新のリスク予測研究に基づけば、地球の温度が2°C、3°C、および4.3°C上昇した場合、絶滅の危険にさらされる種は、それぞれ5.2%、8.5%および16%になると試算されています』

(2)地球の気温が2〜3°C上昇しても「恒温動物」は絶滅しにくい

『こうした予測から、生物の一種である人間は大丈夫なのか?ということが気になります。まず、生物学的に人間という生物種そのものは、恒温動物であり、温度変化には強い種です。さらに衣類や住居などの人工物によって身を守る文化的な適応力も身につけているので、気温が2〜3°C上昇しても絶滅することはないと考えられます』

 (3)実際に近年「高山帯」では暑さに弱い生物が温度上昇が原因で減少

『実際に近年、高山帯や北極などの寒冷地において、気温の上昇が原因で減少していると考えられている生物種はいくつか報告されています。暑さに弱い生物が温度上昇で滅んでいくという事例は直感的にもよくわかる話です』

(4)絶滅の危険にさらされる種の大半は「変温動物」(魚類・昆虫類)

以上からわかることは「地球の気温が1〜3°C上昇すると生物種の20〜30%が絶滅の危機に瀕する」と言われる種の大半は「恒温動物」(哺乳類・鳥類)ではなく、「変温動物」(魚類・昆虫類)である、ということである。「変温動物」である魚類や昆虫類は、「恒温動物」である哺乳類や鳥類と違って、「発育」や「活動」に必要な「温度」を調整する事は出来ないからである。また、「変温動物」である昆虫類の中でも「高山帯」に生息する「高地性種」は、暑さに弱いため、近年の気温の上昇が原因で既に減少している、ということである。

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(16時02分、マハゼの未成魚、約15㎝。キチヌ(キビレ)より大きい)

4.「生息できる場所への移動」(「南進・北進」又は「高所への移動」)

(1)「1℃の上昇」は「緯度で100km」又は「高度で150m」の移動に相当する

参考資料1:「昆虫の温度反応と分布域の変化」によれば、『1℃の上昇は緯度で100km,高度で150mの違いで, 2100年末に予想される4℃の上昇は,400km(高度で 600m)の移動に相当する』という。 

(2)「生息できる場所への移動」は「寄主植物の分布」によって制限される

参考資料1:「昆虫の温度反応と分布域の変化」によれば、『昆虫はその生存を植物に依存している。ところが 自然植生の移動速度は温暖化の速度についていけない。 そのため昆虫の北進も寄主植物の分布によって制限される』という。

 (3)寄主植物(広葉樹林)が少ない「高所への移動」には限界がある

例えば、「中南米ヘラクレスオオカブト属 」の「大型種」の主な生息地であるアンデス山脈は最高標高6000m以上であるが、生息地は標高1000〜2000mに留まる。その理由は、先ほど述べたように、エサとなる樹液や果実を産出する寄主植物(広葉樹林)が少ないためと推測される(例:日本の八ヶ岳連峰(最高標高2899m)は標高1,700 m以下が広葉樹林、標高約2,500 m以下が針葉樹林)。

従って、温暖化により寄主植物(広葉樹林)が「現在より標高の高い涼しい場所(標高2000〜6000m)」へ生息地を広げることが出来れば、その寄主植物(広葉樹林)に依存している昆虫類の「高所への移動」も可能であろう。

しかし、植物は動物と違って移動できない。寄主植物(広葉樹林)に依存している昆虫類は、「現在より標高の高い涼しい場所(標高2000〜6000m)」で寄主植物(広葉樹林)が発育するのを何年も待つしかないだろう(例:成長が早いと言われるクヌギでさえ、木材として利用できるまでには植林から10年かかる)。このように「自然植生の移動速度は温暖化の速度についていけない」のである。寄主植物(広葉樹林)が少ない「高所への移動」には限界があると言えるだろう。

(4)「北の地域」に生息環境は無い

「国立環境研究所 地球環境研究センター」(温暖化と生物の絶滅)によれば、『既に「北の地域」とされる先進諸国の自然環境は撹乱が進み、生物の生息地はズタズタに分断化されており、南の生物が北へ逃げようとしても生息環境がそこに無い以上、逃げられない訳です』という。

(5)「移動可能な場所」は「寄主植物の分布」が南に広がる「南の地域」

このように「高所への移動」には限界があり、また、「北の地域」に生息環境は無いのであれば、「移動可能な場所」は「寄主植物の分布」が南に広がる「南の地域」のみということになる。

例えば、「中南米ヘラクレスオオカブト属 」の「大型種」の主な生息地であるアンデス山脈は、wikipedia(フリー百科事典)によると「北緯10度から南緯50度まで南北7500km、幅750kmにわたる世界最長の連続した褶曲(しゅうきょく)山脈である」という。

したがって、アンデス山脈付近では北緯10度から南緯50度まで南北7500kmの広範囲にわたって「寄主植物(広葉樹林)の分布」が存在すると推測される。寄主植物(広葉樹林)に依存している昆虫類は、涼しい生息地を求めて、アンデス山脈に沿って「南進」する余地は十分あると言えるだろう。

(6)海に囲まれている島では「南進・北進」に限界がある

一方、「東南アジアのアトラスオオカブト属」の「大型種」の主な生息地であるスマトラ島(最高標高3,805 m)やジャワ島(最高標高3,676 m )は、海に囲まれている。

また、「中南米ヘラクレスオオカブト属 」の「大型種」の中でも、例えばヘラクレスオオカブトの本種である「ヘラクレス D. h. hercules」の生息地は、カリブ海のバス=テール島(最標高1,467 m)やドミニカ島(最標高1,447m)であり、海に囲まれている。

このように生息地が海に囲まれている島の場合は、「南進・北進」に限界があると言えるだろう。

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(17時33分、チヌ(クロダイ)の未成魚、約15㎝。夕飯の時間なので手仕舞い

5.「その場所での適応・進化」 とは何か?

このように「絶滅」を避けるため「生息できる場所への移動」を選択したとしても「生息できる場所への移動」が容易な個体群と困難な個体群に分かれてしまう。

そこで、「生息できる場所への移動」が困難な個体群は、「絶滅」を避けるため「その場所での適応・進化」を選択することになる。 

(1)「その場所での適応・進化」 とは「許容範囲」を広げること

「その場所での適応・進化」 とは、「変温動物」(魚類・昆虫類)が自ら「環境変化に対する許容範囲」を広げることである。つまり、「地球温暖化」に伴う「外気温」の上昇に合わせ、その個体群の「発育有効温度帯」の「最高発育限界温度」を上げることである。例えば、暑さに弱い「高地性種」が、暑さに強い「平地性種」のように「高温耐性」を身に着けることである。

(2)「適応・進化」の形は、「変温動物」(魚類・昆虫類)の「小型化」

これを「温度ーサイズ則」に当てはめれば、その「適応・進化」の形は、「変温動物」(魚類・昆虫類)の「小型化」である。

「外気温(気温・水温・地温)が「発育有効温度帯」の上限(最高発育限界温度)に近づくほど、未成魚期・幼虫期の発育速度は速まり、成長率が高くなるため、未成魚・幼虫は発育期間を著しく短縮して「小型化」した成魚・成虫へと発育を遂げる」

例えば、暑さに弱い「高地性種」が、暑さに強い「平地性種」のように「高温耐性」を身に着けると、「平地性種」のように小型化することが予想される。

①「中南米ヘラクレスオオカブト属」(「高地性種」⇒「平地性種」)

例:ヘラクレスオオカブト(♂50.0 - 180.0mm)⇒シロカブト(♂40~70㎜)

②「東南アジアのアトラスオオカブト属」(「高地性種」⇒「平地性種」)

例:コーカサスオオカブト(♂60~120mm)⇒アトラスオオカブト(♂50mm~100mm)

参考資料3:「温度-サイズ則の適応的意義」によれば「より長期的な温度の変化に対する体サイズの可塑的応答として現在注目を集めているのが、地球温暖化に伴う体サイズの小型化の可能性である。これまで、温暖化は生物の分布域の高地や高緯度へのシフト(e.g., Beaugrand et al. 2002)や生活史の季節性(phenology)の変化(e.g., Walther et al. 2002)を引き起こすことが指摘されてきた。 これらの応答に続く第三の普遍的現象として、Daufresne et al.(2009)は外温動物の体サイズが種レベル・個体群 レベル・群集レベルで小型化することを指摘した」という。

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(左:一匹目オス(赤)約50mm、右:二匹目オス(茶)約70mm)

(3)恒温動物(哺乳類・鳥類)の「小型化」の根拠は「ベルクマンの法則」

「ベルクマンの法則」とは、「暑い気候帯では体熱を放出する効率を高くするため体が小さく、逆に寒い気候帯では体熱を保つため体が大きく進化する」という法則である。

wikipedia(フリー百科事典)によると、その理論は、以下の通りである。

①「恒温動物は、常に体温を一定に保つために体内では常に熱を生産している。体内での熱生産量はほぼ体重に比例し、放熱量はおおよそ体表面積に比例する。つまり放熱量は体長の2乗に、熱生産量は体長の3乗に比例する。これは、体長が大きくなるにつれて体重当たりの体表面積は小さくなることを意味する。いわゆる2乗3乗の法則の例の一つである」

②「温暖な地域では体温を維持するためには放熱を十分に行う必要があるから体重当たりの体表面積は大きくなければならず、小型であるほうがよい。逆に寒冷な地域では放熱は簡単であり、むしろ体温を維持するためにはそれを抑える必要があり、そのためには大型であることが有利となる」 

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(左:一匹目オス(赤)羽化後86日目。右:二匹目オス(茶)羽化後81日目)

6.「温度ーサイズ則」「ベルクマンの法則」の視点で見る「太古の地球温暖化

「温暖化 小型化」でネット検索すると、「変温動物」(魚類・昆虫類)の「小型化」に関する論文やニュースはもちろん、「恒温動物」(哺乳類・鳥類)の「小型化」に関する論文やニュースも多く検索される。

ここでは、その中から、科学者達が最も注目する「5600万〜5200万年前の太古の地球温暖化」、すなわち現在の気候変動に似ていると言われることが多い「暁新世・始新世境界温暖極大期(Palaeocene-Eocene Thermal Maximum、PETM)」を「温度ーサイズ則」「ベルクマンの法則」の視点で見てみよう。

(1)研究者「地球上のすべての化石燃料が燃やされると、地球の平均気温は2300年までに8℃上昇し、5600万〜5200万年前の始新世初期の気候に近い状況になる」

地球上のすべての化石燃料が燃やされると、地球の平均気温は2300年までに8℃上昇。海面上昇で北米大陸は3分の一に縮小、熱帯化する北極でワニが泳ぐ。カナダの研究チームが論文(National Geographic) | 一般社団法人環境金融研究機構

IPCCによる「今世紀末の気温上昇予測幅」は1.1〜6.4°Cである

「国立環境研究所 地球環境研究センター」(気候変化予測に幅があるのは? )によれば、『2007年に公表された気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)第4次評価報告書では「1980〜1999年平均と比較した21世紀末(2090〜2099年平均)の気温上昇を1.1〜6.4°Cと予測しています』

 ②来世紀以降の予測は?すべての化石燃料が燃やされると2300年までに8℃上昇

カナダの学者らによって科学誌「Nature Climate Change」(2016年5月23日付)に発表された論文によれば、

「地球上のすべての化石燃料が燃やされると、地球の平均気温は2300年までに8℃上昇し、大気中には5兆トンの炭素が増加。北極の平均気温は17℃も上昇する」
「これだけ気温が上昇すれば、アラスカにヤシの木が繁り、北極でワニが泳いでいた5600万〜5200万年前の始新世初期の気候に近い状況になるだろう」 

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(バナナのおかげで、一匹目オス(赤)は二匹目オス(茶)より元気になった)

 (2)研究者「5500万年前の温暖化では、数千年の間に甲虫類などの大きさが50~75%小さくなっていた」「昆虫類などの変温動物は温暖化の影響をダイレクトに受ける。気温が摂氏1度上がるごとに代謝が約10%活発になり、エネルギーの消費が増えた結果、小型化することを示唆する実験結果がある」

温暖化で一部の動植物が小型化、シンガポール大研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

シンガポール大学の学者らによって科学誌「Nature Climate Change」(2011年10月16日付)に発表された論文によれば、

「微生物から食物連鎖の上位にいる捕食動物まで85種の動植物のデータを検討したところ、45%近くが数世代を経るうちに小型化していた」
「化石資料は、気温が上昇した時代に海洋と陸上の両方で生物の大きさが徐々に小さくなったことを明らかに示していた」
「現在の気候変動に似ていると言われることが多い5500万年前の温暖化では、数千年の間に甲虫類、ハナバチ、クモ、カリバチ、アリの大きさが50~75%小さくなっていた。リスやモリネズミなどの哺乳類も約40%小型化していた」
「現在の温暖化のペースは、この暁新世・始新世境界温暖極大期(Palaeocene-Eocene Thermal Maximum、PETM)当時よりもはるかに速く、多くの生物種で小型化が始まっている」
「昆虫類などの変温動物は温暖化の影響をダイレクトに受ける。気温が摂氏1度上がるごとに代謝が約10%活発になり、エネルギーの消費が増えた結果、小型化することを示唆する実験結果がある」 

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(復活した一匹目オス(赤)はコバエ防止用キッチンペーパーまで破り始めた)

(3)研究者「現在のCO2排出ペース、「温暖化極大期」の10倍」

現在のCO2排出ペース、「温暖化極大期」の10倍 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

ペンシルベニア州立大学の学者らによって英科学誌「ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)」(2011年6月5日付)に発表された論文によれば、

「現在、地球の大気に二酸化炭素(CO2)が放出されるペースは、5600万年前に地球の気温が5度以上上昇した「温暖化極大期」と比べて10倍に達している」
「国連(UN)の科学者らは、CO2排出が大幅に削減されなければ、地球の平均気温は2100年までに4~5度上昇しかねないと指摘している。つまり、PETMのときに千年単位で起きた気温上昇が、百年単位で急激に起こる」
「PETMを気候変動における『圧迫』と見なし、恐竜を絶滅させた1000万年前の隕石衝突を『一撃』と呼ぶとしたら、現在われわれが直面している状況は圧迫というよりも一撃に近いだろう」 

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(もう10月なので、室内飼育にしたほうが・・。でも、家族の許可が下りない)

(4)研究者「約5600万~5200万年前の「温暖化」終息メカニズムの証拠をインド洋で発見」

 「超温暖化」終息メカニズムの証拠をインド洋で発見 東大など :日本経済新聞

 東京大の学者らによって英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」(2017年9月12日付)に発表された論文によれば、

  「急激な気温上昇を伴う「超温暖化」が約5600万~5200万年前に繰り返し起こり、そのたびに海のプランクトンの光合成が活発になって大気中の二酸化炭素(CO2)を減らしてきたことを示す証拠をインド洋の堆積物から発見した」
「地球には温暖化をやわらげる自浄作用があるが、現代の温暖化はかつてよりスピードが速く、同じような自浄作用が効くかどうかはさらなる研究が必要」 

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 (毎日の掃除。洗浄後は天日干し。慣れれば全く苦にならないから不思議だ)

7.「地球温暖化」の影響は「生物への影響」で比較すると実感しやすい

東京の「年間気温の振れ幅」は毎年約40℃もある(昨年39.4℃、今年43.0℃)。だから「地球温暖化で100年間に1.1〜6.4°Cの上昇」にどのような意味があるのか?そう思ってしまうのも無理はないだろう。「地球温暖化」の影響は、気温で比較すると実感しにくい。しかし、「生物への影響」で比較すると実感しやすい。

①昨年の東京の気温(年平均気温15.8℃、最高気温37.1℃、最低気温-2.3℃)
  「気温の振れ幅」は37.1℃ー(-2.3℃)=39.4℃
②今年の東京の気温(年平均気温:未定、最高気温39.0℃、最低気温-4.0℃)
  「気温の振れ幅」は39.0℃ー(-4.0℃)=43.0℃

 参考資料1:「昆虫の温度反応と分布域の変化」

http://www.jppa.or.jp/shiryokan/pdf/64_07_01.pdf

参考資料2:「日本産昆虫、ダニの発育零点と有効積算温度定数:第2版」

http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/publish/bulletin/niaes31-1.pdf

参考資料3:「温度-サイズ則の適応的意義」

温度-サイズ則の適応的意義

「国立環境研究所 地球環境研究センター」(温暖化と生物の絶滅)

温暖化の影響 Q10 温暖化と生物の絶滅 - ココが知りたい地球温暖化 | 地球環境研究センター

「国立環境研究所 地球環境研究センター」(気候変化予測に幅があるのは? )

温暖化の科学 Q18 気候変化予測に幅があるのは? - ココが知りたい地球温暖化 | 地球環境研究センター

カブトムシの大きさの秘密④「”温度ーサイズ則”の視点で見る”世界のカブトムシ”」(「中南米のヘラクレスオオカブト属」「東南アジアのアトラスオオカブト属」の中でも”世界最大””アジア最大”と呼ばれる大型種ほど、標高が高く涼しい高山帯に生息する。一方、「東アジアのカブトムシ属カブトムシ種」の中でも”ミニカブト”と呼ばれる小型亜種ほど、温帯地域より低緯度の暖かい亜熱帯・熱帯地域に生息する)

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(昼夜の長さが等しくなる秋分から釣りシーズン。9/9に近所の川を事前調査)

1.「カブトムシの大きさの秘密①~③」で述べたように、「温度ーサイズ則」(temperature-size rule)は特に「変温動物」である魚類や昆虫類に当てはまる

(1)「変温動物」である昆虫類の「大きさの違い」は、栄養環境だけでは説明することはできない。これは、「変温動物」である魚類も同じである。なぜなら、「変温動物」である魚類や昆虫類は、「恒温動物」である哺乳類や鳥類と違って、「発育」に必要な「温度」を自ら作り出し調整する事は出来ない。そのため、どんなに豊富な食糧が身近にあっても「発育」に必要な「温度」を「外気温」(気温・水温・地温)に頼らざるを得ないからだ。

(2)そして、生物の「発育」は、体内で起きる「化学反応」であり、「化学反応」の速度は、普通10℃の差で2~3倍変わる。従って、一般的に「生物の発育速度」は「温度」に比例し、10℃上昇するごとに2~3倍に増加する(温度係数Q10=2~3)。特に、「変温動物」である魚類や昆虫類は、「恒温動物」である哺乳類や鳥類と違って、その「発育」は、「外気温」(気温・水温・地温)に大きく左右され、「外気温」が10℃上昇するごとに「発育速度」は2~3倍に増加する。

(3)このように「外気温」(気温・水温・地温)が高くなり、「発育速度」が増加すると、「変温動物」である魚類や昆虫類の成体(成魚・成虫)の体サイズはどうなるのか?「温度ーサイズ則」(temperature-size rule)によれば、

①外気温(気温・水温・地温)が「発育有効温度帯」の上限(最高発育限界温度)に近づくほど、未成魚期・幼虫期の発育速度は速まり、成長率が高くなるため、未成魚・幼虫は発育期間を著しく短縮して「小型化」した成魚・成虫へと発育を遂げる。

②外気温(気温・水温・地温)が「発育有効温度帯」の下限(最低発育限界温度)に近づくほど、未成魚期・幼虫期の発育速度は遅くなり、成長率が低くなるため、未成魚・幼虫は発育期間を著しく延長して「大型化」した成魚・成虫へと発育を遂げる。

③参考資料1:「日本産昆虫、ダニの発育零点と有効積算温度定数:第2版」によれば、「温度ーサイズ則」は概ね80% 以上の変温動物に当てはまるとされている。

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(釣れたのはセイゴ、成長につれて呼び名が変わる出世魚「スズキ」の未成魚)

2.「温度-サイズ則」(temperature-size rule)は魚類より特に昆虫類に適合

(1)このように、「温度-サイズ則」によれば、「変温動物」である魚類や昆虫類は、どんなに豊富な食糧が身近にあっても、外気温(気温・水温・地温)次第で、成体(成魚・成虫)の体サイズは、「小型化」したり「大型化」してしまう。

(2)しかし、魚類は、昆虫類と違って、成体になるタイミングを正確につかめない。なぜなら、昆虫類は性成熟以後は成長を停止するが、魚類は性成熟以後も成長を続けるからだ。 

①昆虫類は「決定成長(determinate growth)」性成熟以後は成長を停止する。
②魚類は「非決定成長(indeterminate growth)」性成熟以後も成長を続ける。

(3)したがって、参考資料2:「温度-サイズ則の適応的意義」によれば「温度-サイズ則に従うかどうかが実験によって調べられた種の大半は昆虫類である」という。つまり、魚類については実験結果は少ないが、昆虫類については実験結果が豊富に存在し、「温度-サイズ則」は魚類よりも特に昆虫類に適合するということである。

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(いつも「入れ食い」状態のマハゼの未成魚、寿命は1年で春に産卵する)

 3.「温度ーサイズ則」の視点で見る「世界のカブトムシ」

(1)もし本当に、「80% 以上の変温動物に当てはまる」とされている「温度-サイズ則」が、「魚類よりも昆虫類に特に適合する」のであれば、「世界のカブトムシ」の「種」を超えた「温度管理の違い」や「大きさの違い」も、「温度-サイズ則」により容易に説明できるのではないだろうか。

 (2)例えば、熱帯地方に生息する”世界最大””アジア最大”と呼ばれる大型種を、温帯地方の日本で飼育する場合、低温飼育が必要(夏場でもエアコンは必須)であるのはなぜであろうか?

例①:世界最大のヘラクレスオオカブトの飼育温度は、大体18℃~28℃前後
例②:2番目に大きいネプチューンオオカブトの飼育温度は、大体18℃~24℃前後
例③:アジア最大のコーカサスオオカブトの飼育温度は、大体15℃~20℃前後

(3)また、東アジア広域に生息する同じカブトムシ種の中でも、”ミニカブト”と呼ばれる小型亜種は、なぜ温帯地域より低緯度の暖かい亜熱帯・熱帯地域に多く生息するのであろうか?

例①ヤクシマカブト(鹿児島屋久島のカブトムシ亜種)(♂約30~60mm前後)
例②オキナワカブト(沖縄本島のカブトムシ亜種)(♂約30~50mm前後)

(4)一般的に「世界のカブトムシ」と呼ばれる昆虫は、「真性カブトムシ族」(コウチュウ目・コガネムシ科・カブトムシ亜科・真性カブトムシ族)の昆虫を指し、「中南米ヘラクレスオオカブト属」「東南アジアのアトラスオオカブト属」「東アジアのカブトムシ属」などに分類される。なお、沖縄に生息するタイワンカブトは「サイカブト族」に属し、「真性カブトムシ族」には含まれない(20世紀初頭に台湾から上陸したサトウキビの害虫である)。

(5)そこで、「世界のカブトムシ」の「温度管理の違い」や「大きさの違い」を、「中南米ヘラクレスオオカブト属」「東南アジアのアトラスオオカブト属」「東アジアのカブトムシ属」ごとに、「温度ーサイズ則」の視点で見てみよう。

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(一昨年の秋、同じ場所で釣ったキチヌ。釣り名人の予想日時で約30分の成果)

4.「中南米ヘラクレスオオカブト属」

熱帯地方に生息する「中南米ヘラクレスオオカブト属」の中でも、「世界最大」と呼ばれる「大型種」(ヘラクレスオオカブトネプチューンオオカブト・サターンオオカブト)は、「標高が高く涼しい」高山帯に生息しているため、「低温飼育」が必要となる。一方、「小型種」(シロカブト)は暖かい平地に生息しているため、「常温飼育」が可能となる。

(1)大型種⇒高地性のカブトムシ⇒低温飼育

wikipedia(フリー百科事典)によると「高地性のカブトムシ全般に共通の傾向として、幼虫・成虫共に平地性種より更に暑さに弱い」「大型になる亜種、また大型の個体は標高1000〜2000mの高山帯にしか見られない」

例①:ヘラクレスオオカブト(♂50.0 - 180.0mm)標高1000〜2000mの高山帯
例②:ネプチューンオオカブト(♂50.0 - 165.0mm)アンデス山脈熱帯雨林
例③:サターンオオカブト(♂55 - 115mm )標高1000 - 2800mの熱帯雨林

 (2)小型種⇒平地性のカブトムシ⇒常温飼育

 例:シロカブト(♂40~70㎜)北アメリカ南部~中央アメリカ一帯

wikipedia(フリー百科事典)によると「新大陸を代表するカブトムシ類、同属のヘラクレスオオカブトよりも遙かに小さく、多くの種類は日本のカブトムシよりも小型であり、代表種のグラントシロカブトの体長は最大でも70mm程で、日本のカブトムシの大型個体には及ばない」

(3)この事実を、「温度ーサイズ則」の視点で見ると、

この事実を、「温度ーサイズ則」の視点で見ると、同じ「ヘラクレスオオカブト属」の中でも、「大型種」ほど「低温でゆっくり発育」し、「小型種」ほど「高温ですばやく発育」すると考察できる。

5.「東南アジアのアトラスオオカブト属」

熱帯地方に生息する「東南アジアのアトラスオオカブト属」の中でも、「アジア最大」と呼ばれる「大型種」(コーカサスオオカブト)は、「標高が高く涼しい」高山帯に生息しているため、「低温飼育」が必要となる。一方、「小型種」(アトラスオオカブト)は暖かい平地に生息しているため、「常温飼育」が可能となる。

(1)大型種⇒高地性のカブトムシ⇒低温飼育

 例:コーカサスオオカブト(♂60~120mm)標高800-2000mの熱帯高地林

wikipedia(フリー百科事典)によると「元の生息地は赤道付近であるが、標高の高い涼しい森林に生息するため暑さには弱く、大体15℃~20℃前後が適温とされている。故にクーラー等の温度管理無しで日本の夏を越すのは厳しい」

(2)小型種⇒平地性のカブトムシ⇒常温飼育

例:アトラスオオカブト(♂50mm~100mm)東南アジアの低地

wikipedia(フリー百科事典)によると「フィリピン・インドネシアなど東南アジアの低地に分布する」

(3)この事実を、「温度ーサイズ則」の視点で見ると、

この事実を、「温度ーサイズ則」の視点で見ると、同じ「アトラスオオカブト属」の中でも、「大型種」ほど「低温でゆっくり発育」し、「小型種」ほど「高温ですばやく発育」すると考察できる。

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(最後はカニ。エサを現地で採集する釣り名人にとってはキチヌやチヌのエサ)

6.「東アジアのカブトムシ属カブトムシ種」

(1)カブトムシは東アジアの広範囲に生息する

wikipedia(フリー百科事典)によると「本州島以南から、台湾島インドシナ半島朝鮮半島、中国大陸まで分布する。北海道島には元々分布していなかったが、人為的に持ち込まれたものが1970年代から定着している。標高1500m以下の山地〜平地の広葉樹林に生息する」

(2)カブトムシは生息域によって、複数の亜種に分類される

wikipedia(フリー百科事典)によると、以下の通りである。

①タイリクカブトムシ:中国大陸・朝鮮半島
②ヤマトカブトムシ ( カブトムシ ) :本州・四国・九州・佐渡島壱岐対馬五島列島平戸島沖縄本島(人為的)北海道(人為的)
③カブトムシ屋久島・種子島亜種:鹿児島県屋久島・種子島
④ツチヤカブト:鹿児島県口永良部島
⑤オキナワカブト:沖縄本島
⑥クメジマカブト:沖縄県久米島
⑦ツノボソカブト:台湾
⑧ツヤカブト:タイ

(3)このように東アジア広域に生息するカブトムシの中でも、以下の通り、「ミニカブト」と呼ばれる小型亜種ほど、温帯地域より低緯度の暖かい亜熱帯・熱帯地域に生息する。

例①ヤクシマカブト(鹿児島屋久島のカブトムシ亜種)(♂約30~60mm前後)

屋久島の自然・昆虫・カブトムシ

 「ヤクシマカブトムシ」?: 屋久島自然史研究会

例②オキナワカブト(沖縄本島のカブトムシ亜種)(♂約30~50mm前後)

オキナワカブト| ドルクスダンケ

(4)この事実を、「温度ーサイズ則」の視点で見ると、

この事実を、「温度ーサイズ則」の視点で見ると、同じ「カブトムシ属カブトムシ種」の中でも、「大型亜種」ほど「低温でゆっくり発育」し、「小型亜種」ほど「高温ですばやく発育」すると考察できる。

 7.バナナの試食5日目の様子(写真は9月21日(金)昼12半撮影)
エサを昆虫ゼリーからバナナへ切り替えて今日で5日が経過したが、二匹共なんとかまだ生きているので、バナナは予想以上の効果があったようだ。

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 (実験:バナナとゼリーのハーフ&ハーフにしてみた。結果は・・) 

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(1匹目オス(赤)羽化後78日目。ゼリーよりバナナの方が好きなようだ)

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(二匹目オス(茶)羽化後73日目。こちらもバナナの方が好きなようだ)

参考資料1:「日本産昆虫、ダニの発育零点と有効積算温度定数:第 2版」

http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/sinfo/publish/bulletin/niaes31-1.pdf

参考資料2:「温度-サイズ則の適応的意義」

温度-サイズ則の適応的意義

【敬老の日番外編②】猫嫌いの高齢の母が「栃木からやって来た耳の聞こえない迷子の猫」に好かれてしまった話(飼い主のおばあさん「娘の家に猫を預けたら行方不明になった。耳が聞こえない猫なので、交通事故にあったのではないかと心配で一週間探し続けた」猫「”ばあば”を探しに外に出たら迷子になったった」)

前回、次のように書いた。

「昨日は敬老の日だったので、週末から実家へ行ったのだが、あれから実家の庭先にはカブトムシは現れなかったという。代わりに、毛並みの美しい三毛猫ボブテイルが実家の庭先に現れたという」

実は、実家で一番の「虫嫌い、猫嫌い」は高齢の母である。そもそも母は「今までペットを飼いたいと思ったことが無い」という。そんな母が、父が亡くなってから、毎年のように、庭先で75~80mmクラスの大型のカブトムシを捕獲したり、先日も、庭先で非常に珍しい三毛猫ボブテイルを保護したというのだから、人生とは不思議なものである。

1.虫嫌いの高齢の母が庭先でカブトムシを捕獲する理由(「迷子」だから)

そもそも虫嫌いの母が、毎年のように、庭先でカブトムシを捕獲する理由は、【お盆休み番外編①】で書いたように「半日ほど庭先に放置していたが、日差しが強くなっても、庭から逃げない」からだ。つまり「大半は放っておくと庭先から逃げていく。けれど中には、自由に逃げられるのに、庭先からいつまでも逃げないカブトムシが居る。これは迷子と同じ」というのだ。

なぜ、雑木林に放さないのか?と聞いたら、

母「あの小さな雑木林では、樹液が足らないのではないか。お盆になる頃には、樹液が枯れてしまうのではないか。だから、6月、7月ではなく8月の晩夏の頃にカブトムシはエサを求めて、民家のある方へ毎年飛んでくるのではないか」という。

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(実家近くの小さな雑木林。9月に入り、樹液はすっかり枯れているようだ)

 2.猫嫌いの高齢の母が庭先で三毛猫を保護した理由(「迷子」だから)

このように、例年は、お盆が過ぎても「迷子のカブトムシ」はやってくるのだが、今年は8月13日の1匹だけだったという。今年はその代わりに、毛並みの美しい三毛猫が庭先にやって来てしばらく居座ったという。

母「その猫は8月下旬に近所の駐車場で見かけた。いつの間にか、庭に置いてある自転車のカバーの陰に隠れていた。近寄ってみると尻尾が短く、毛並みの美しい三毛猫だった。だから、野良猫ではなく飼い猫だと思った。飼い主が見つけ易いように、元居た駐車場へ戻してやった。翌日、その猫はまた、自転車のカバーの陰に隠れていた。また元居た駐車場へ戻してやった。そんなことを4回繰り返した」という。

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(母が保護した「三毛猫」の写真は無いので、代わりに秘蔵?の写真を掲載)

 3.見知らぬ猫を抱っこした母が怪我をせずに済んだ理由(「飼い猫」だった。しかも「三毛猫のボブテイル」だった。運が良かった)

猫嫌いの高齢の母が、その「迷子の猫」を、一人でどうやって元居た駐車場へ戻したのか聞いてみた。猫の飼い主でさえ、猫の爪で引っ掻かれて病院に行くという話はよく聞くからだ。すると、「触りたくないので、最初は園芸用のスコップに乗せようとしたが、小さくて無理だった。仕方ないので、抱っこして運んだ。おとなしい猫だった」という。

おそらく、その「迷子の猫」が、たまたま「飼い猫」だったから、おとなしい性格だったのだろう。また、「ボブテイル」(ウサギのように尻尾が短い品種)だったから、おとなしい性格だったのかもしれない。

「ウサギのように尻尾が短い」猫は、日本では江戸時代から商売繁盛の縁起物「招き猫」のモデルとされ、日本国内ならどこでも見る事が出来る、ごく普通の猫だ(但し、尻尾が短いのは遺伝の関係なので、数は少ない)。

この「ウサギのように尻尾が短い」猫は、ほぼ日本にしか居ないので、海外では非常に珍しく「ジャパニーズ・ボブテイル(日本の尻尾が短い猫)」として品種登録されている。「その性格は人懐っこく、飼い主の言葉にもよく反応するなどペットとして非常に適している」として、現代では日本よりむしろ海外で有名な品種だ。同じように遺伝の関係で数が少ないのが「日本の三毛猫」だ(「三毛」も遺伝の関係なので、数は少ない)。

従って、母の後をついてきた「三毛猫」の「ボブテイル」は遺伝の視点で見ると、猫の中でも非常に珍しい部類に入る。

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(猫たちも「ボブテイル」の兄妹だから、尻尾はウサギのように短い。遺伝の関係で、猫たちの両親も、尻尾がウサギのように短い「ボブテイル」だった)

 4.迷子の猫「”ばあば”を探しに外に出たら迷子になった」

このように、見知らぬ猫を抱っこした母が怪我をせずに済んだのは、たまたま運が良かっただけだと思うのだが、母は楽観的である。「とりあえず飼い主が現れるまで、空腹だろうと思い、魚肉ソーセージをあげたら食べた。その2日後、飼い主が現れた」という。

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(「ボブテイル」の性格は非常におとなしい。カブトムシを襲ったこともない)

飼い主のおばあさん「東京に用事があって栃木からやって来たのだが、娘の家に猫を預けてたら行方不明になった」という。母は自転車のカバーをめくり、「迷子の猫」をぎゅっと抱っこして「お前は、”ばあば”を探しに外に出たから迷子になったんか?」と一言猫に言うと、飼い主のおばあさんに手渡したそうだ。

飼い主のおばあさん「耳が聞こえない猫なので、交通事故にあったのではないかと心配で一週間前から探していた。娘の家は隣町で、何度も探したが見つからないので、今日はこちらの民家を1軒1軒回っていた」という。

一週間後、その飼い主のおばあさんは、わざわざ栃木からまたやって来たという。菓子折りを持って改めて実家の母にお礼の挨拶に来たそうだ。律儀な人である。

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(「ボブテイル」は、他の動物ともすぐに仲良くなる、日本ではごく普通の猫)

ところで、その「迷子の猫」は、なぜ4度も実家の庭先に戻って来たのか?なぜ、よりによって、猫嫌いの母の後をついてきたのか?

おそらく、それは「耳が聞こえない猫だった」からだろう。母の「声」ではなく、飼い主のおばあさんと「年恰好が似ている」から、高齢の母を頼ろうと思ったのだろう。大人の中でも「ばあば」は小柄で動作も遅いので、猫にとって一番安心する存在なのだろう。

  5.バナナの試食2日目の様子(9月20日(木)朝6時半撮影)

1匹目オス(赤)が、今日で羽化後75日目を迎えた。二匹目オス(茶)も、今日で羽化後70日目を迎えた。

前回、「カブトムシを11月19日まで飼育した青年の話」を書いた。その青年を見習って、そろそろ寿命が尽きそうなカブトムシたちのために、エサを昆虫ゼリーからバナナへ切り替えた。今日で二日が経ったが、予想以上に経過は順調だ。

(1)掃除の手間(変わらない)

バナナは掃除が大変と思ったが、実際は、以前と手間はほとんど変わらない。

(2)マットの汚れ(無し)

昆虫ゼリーと違ってバナナは「液だれ」しないのでマットは汚れない。

(3)コバエ(無し)

8月ならコバエが集まりそうだが、9月は涼しいせいか、コバエは全く見当たらない。

(4)アリ(無し)

9月に入り、昆虫ゼリー目当てのアリの侵入に悩まされていたが、バナナにはアリは寄りつかないようだ。

(5)効能(少し元気になった)

カブトムシの食いっぷりも良いし、少し元気が戻った気がする。

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(見た目は汚いが、バナナは「液だれ」しないのでマットは汚れない。)

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(健康チェック:1匹目オス(赤)は、逆さにしても、ずり落ちなくなった)

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(健康チェック:2匹目オス(茶)は、またマットに潜るようになった)

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(バナナの試食2日目で、少し元気が戻った気がする)

【敬老の日番外編①】一昨年のお盆過ぎ(8月下旬)に、実家の庭先に現れた大きなカブトムシ(たぶん80mm超)を引き取った青年の話(「11月19日まで生きていた。正月まで生きるかと思った」「いろいろなエサを試したが、カブトムシを長生きさせるにはバナナが一番良かった」)

【お盆休み番外編①②】で次のように書いた。

「実家では、毎年お盆を迎える晩夏の頃から、ようやく夏の風物詩、カブトムシがやってくる」「今年も8月13日に実測75ミリの大きなカブトムシがやってきた。東京都心の知人宅にもらわれていった」

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(実家近くの小さな雑木林。クヌギの木に混じり、栗の木が一本、実をつける) 

1.一昨年のお盆過ぎ(8月下旬)に、実家の庭先に現れた大きなカブトムシ(たぶん80mm超)を引き取った青年の話

昨日は敬老の日だったので、週末から実家へ行ったのだが、あれから実家の庭先にはカブトムシは現れなかったという。代わりに、毛並みの美しい三毛猫ボブテイルが実家の庭先に現れたという(この三毛猫の話は後日に)。

猫たちのために飼い始めたカブトムシ(残り2匹)の寿命が近づいていることを伝えると、「バナナ」をあげると良いという。実家ではカブトムシを飼育する習慣は無いので、不思議に思い、何故かと聞いてみた。すると・・、

一昨年のお盆過ぎ(8月下旬)に、実家の庭先に現れた大きなカブトムシを引き取った青年の話をしてくれた。今年のカブトムシ(実測75ミリ)よりずっと大きなカブトムシだったというから、たぶん、80mm超はあったのではないだろうか。都内に住む知人の大学生(生物科学専攻)が興味を示して、もらわれていったという。

翌年年明けに挨拶に来たその青年は、スマホで撮影した写真を見せながらこう言ったという「あのカブトムシは11月19日まで生きていた。正月まで生きるかと思った」「小学生の頃からカブトムシが好きで、何かの縁があれば、カブトムシをもらい受け、毎年のように飼育してきた」「これまでいろいろなエサを試したが、カブトムシを長生きさせるにはバナナが一番良かった」「バナナは栄養価が高く水分が少ないので、カブトムシの排泄物による汚れも少ない」。11月に撮影したというその写真には、室内の60センチ水槽の中でバナナに食らいつく大きなカブトムシが1匹映っていたという。

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(根元は沢山のドングリと朽木。奥斜面は10m下まで腐葉土が積み重なる)

確かに、寿命が近づいているカブトムシには、栄養価が高いバナナは一番良いかもしれない。ベランダ等の屋外飼育では、夏場はバナナは傷みやすいので、傷みにくい昆虫ゼリーの方が良いと思うが、もう既に秋だ。それほど気にすることも無いだろう。それに、カブトムシだって寿命が尽きる前に、昆虫ゼリー以外のエサも食べてみたいだろう。そう思いながら、家に電話すると赤カブトは元気がないが、まだカブトムシは2匹とも生きているという。そこで、バナナをお土産に買ってきた。

2.今朝のカブトムシの様子

昨日の敬老の日(9月17日)は、東京では、一週間ぶりに、最高気温が31度を超えた。だから、元気なカブトムシであれば、日中の暑さをさけるため、早朝からマットに潜っているはずだが・・。2匹共マットに潜っていない。1匹目のオス(赤)は1週間前からマットに潜らなくなってしまったが、今朝は、2匹目のオス(茶)もマットに潜っていない。こんなことは今朝が初めてだ。2匹共、相当、弱っているようだ。

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(9月18日(火)朝6時半撮影、2匹共マットに潜らないのは、今朝が初めて)

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(上を拡大:1匹目オス(赤)は、昨日の暑さの戻りで、風前の灯火のようだ)

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(下を拡大:2匹目オス(茶)も、昨日の暑さの戻りで、バテ気味のようだ)

3.夕方のカブトムシの様子

そこで、カブトムシが少しでも長生きできるように、今夜はバナナを試食させてみた。2匹共、初めてのバナナであったが、食いつきは良いようだ。

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(9月18日(火)夕方5時撮影、初めてのバナナを試食するカブトムシたち)

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(下を拡大:1匹目オス(赤)は、初めて食べるバナナで目が生き返ったようだ)

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(上を拡大:2匹目オス(茶)も、初めて食べるバナナが気に入ったようだ)