カブトムシの幼虫、さなぎの育て方2018年

虫好きな猫たちのために、ベランダでカブトムシの幼虫を育てる悪戦苦闘の物語

カブトムシと地球温暖化⑤「気象庁”歴代全国ランキング”(年間最高気温)に南西諸島に位置する那覇や屋久島が挙がらない理由」(那覇や屋久島は、東京・名古屋・大阪・福岡に比べ、緯度が低いため「平均気温」は高いが、海に囲まれているため「気温変動幅」(最低気温~最高気温)は小さくなる。那覇や屋久島では観測開始以来「36℃以上の気温」は観測されていない。そのため”那覇や屋久島の昆虫たち”は「猛暑によるカブトムシ3000匹衰弱死」の気温境界線(37.1℃)を経験したことが無い)

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(近所の公園。サザンカの名所だが、11月は雨上がりの紅葉と落葉が目を引く)

1.札幌初雪、1877年(明治10年)の観測開始以来、最も遅い記録に並ぶ

今週(11月20日)、ようやく札幌で初雪が観測されたという。「1890年(明治23年)の記録と並ぶ最も遅い初雪」だという。青森の平年(1981年~2010年の30年間の平均)の初雪は11月6日である。したがって「今年の札幌の初雪」は「平年の青森の初雪」より14日も遅いことになる。

札幌で最も遅い初雪観測 1890年と同日(北海道新聞) - Yahoo!ニュース

『道内は上空に寒気が入った影響で19日、帯広市で初雪を観測した。札幌市でも20日午前0時50分ごろ観測し1877年(明治10年)の観測開始以来、最も遅い記録に並んだ』『札幌管区気象台などによると、帯広の初雪は平年より12日、昨年より27日遅く、観測史上5番目に遅かった』『札幌は、平年より22日、昨年より27日遅かった。札幌でこれまで初雪が最も遅かったのは1890年(明治23年)の11月20日

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(ズーム機能は使わずに被写体に近寄って撮影。雨に濡れた紅葉は美しい) 

2.那覇屋久島では観測開始以来「36℃以上の気温」は観測されていない

前回「カブトムシと地球温暖化④」で考察したように、今年の夏、兵庫県市川町で発生した「猛暑によるカブトムシ3000匹衰弱死」の気温境界線は37.1℃であると推測される。「雑木林の木陰効果(-2.1℃)」を考慮すると「雑木林の林内気温」が「昆虫の致死温度(35℃)」を超えるのは 「雑木林の外の気温」(気象庁発表の気温)が37.1℃を超える時だからである。

それでは、南西諸島に位置する沖縄県那覇や鹿児島県屋久島では、これまで「猛暑によるカブトムシ3000匹衰弱死」の気温境界線(37.1℃)を超えたことは無いのだろうか?

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(同じ木の下。雨に濡れた紅葉は、視点を変えると違った色合いを放つ) 

(1)気象庁「歴代全国ランキング」(年間最高気温)

以下は気象庁の「歴代全国ランキング」(年間最高気温)ある。ランキングに挙がっているのは全て「温帯地域」の地名である。「亜熱帯地域」の沖縄県那覇や「温帯最下部」の鹿児島県屋久島はランキングに挙がっていない。

1位:埼玉県 熊谷       41.1℃ 2018年7月23日
2位:岐阜県 美濃       41.0℃ 2018年8月  8日
2位:岐阜県 金山       41.0℃ 2018年8月  6日
2位:高知県 江川崎      41.0℃ 2013年8月12日
5位:岐阜県 多治見      40.9℃ 2007年8月16日
6位:新潟県 中条       40.8℃ 2018年8月23日
6位:東京都 青梅       40.8℃ 2018年7月23日
6位:山形県 山形       40.8℃ 1933年7月25日
9位:山梨県 甲府       40.7℃ 2013年8月10日
10位:和歌山県 かつらぎ  40.6℃ 1994年8月  8日
10位:静岡県 天竜     40.6℃ 1994年8月  4日
12位:山梨県 勝沼     40.5℃ 2013年8月10日
13位:新潟県 三条     40.4℃ 2018年8月23日
13位:埼玉県 越谷     40.4℃ 2007年8月16日
15位:愛知県 名古屋    40.3℃ 2018年8月  3日
15位:群馬県 館林     40.3℃ 2007年8月16日
15位:群馬県 上里見    40.3℃ 1998年7月  4日
15位:愛知県 愛西     40.3℃ 1994年8月  5日
19位:千葉県 牛久     40.2℃ 2004年7月20日
19位:静岡県 佐久間    40.2℃ 2001年7月24日
19位:愛媛県 宇和島    40.2℃ 1927年7月22日

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(紅葉は、人の目を引き、落葉は、木の存在感を露わにする)

(2)南西諸島に位置する那覇屋久島の「観測史上最高気温」

それでは、南西諸島に位置する那覇屋久島の「観測史上最高気温」は何度であろうか?「温帯地域」の東京・名古屋・大阪・福岡の「観測史上最高気温」と比べてみよう。

             観測史上最高気温
那 覇(北緯26度12.4分) 35.6℃(2001年) 
屋久島(北緯30度23.1分) 35.4℃(2006年、2016年)

東 京(北緯35度41.5分) 39.5℃(2004年7月20日
名古屋(北緯35度10.0分) 40.3℃(2018年8月03日)
大 阪(北緯34度40.9分) 39.1℃(1994年8月08日)
福 岡(北緯33度34.9分) 38.3℃(2018年7月20日

以上の気象記録から以下の事がわかる。 

那覇屋久島では観測開始以来「36℃以上の気温」は観測されていない。したがって、「那覇屋久島の昆虫たち」は「猛暑によるカブトムシ3000匹衰弱死」の気温境界線(37.1℃)を観測開始以来、経験したことが無いことになる。

那覇屋久島の「観測史上最高気温」は、東京・名古屋・大阪・福岡の「観測史上最高気温」と比べ、明らかに低い。例えば、那覇は名古屋と比べ4.7℃低く(40.3℃-35.6℃)、屋久島は名古屋と比べ4.9℃低い(40.3℃-35.4℃)。

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(この公園にも毎日沢山の人々が訪れる。無人の風景を切り取るのは運次第)

(3)南西諸島に位置する那覇屋久島の「今年の最高気温」

次に、南西諸島に位置する那覇屋久島の「今年の最高気温」は何度であろうか?「温帯地域」の東京・名古屋・大阪・福岡の「今年の最高気温」と比べてみよう。

             今年の最高気温      猛暑日の発生日数
那 覇(北緯26度12.4分) 33.1℃(2018年7月24日)    0日
屋久島(北緯30度23.1分) 33.1℃(2018年9月04日)    0日

東 京(北緯35度41.5分) 39.0℃(2018年7月23日)    12日
名古屋(北緯35度10.0分) 40.3℃(2018年8月03日)    36日
大 阪(北緯34度40.9分) 38.0℃(2018年7月19日)    27日
福 岡(北緯33度34.9分) 38.3℃(2018年7月20日)    16日

以上の気象記録から以下の事がわかる。

①今年、那覇屋久島では「34℃以上の気温」は観測されていない。今年、東京・名古屋・大阪・福岡では、猛暑日(最高気温≧35℃)が12日~36日も観測されたが、那覇屋久島では、猛暑日(最高気温≧35℃)は全く観測されていない。

那覇屋久島の「今年の最高気温」は、東京・名古屋・大阪・福岡の「今年の最高気温」と比べ、明らかに低い。例えば、那覇屋久島共に名古屋と比べ7.2℃も低い(40.3℃-33.1℃)。 

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(公園中央は特に人が多い。この日は雨上がりで運が良かったようだ)

3.気象庁「歴代全国ランキング」(年間最高気温)に南西諸島に位置する那覇屋久島が挙がらない理由

それでは、気象庁の「歴代全国ランキング」(年間最高気温)に南西諸島に位置する那覇屋久島が挙がらない理由は何であろう?今年の夏は、世界各地で猛暑が広がり、東京・名古屋・大阪・福岡では、猛暑日(最高気温≧35℃)が12日~36日も観測されたが、那覇屋久島では、猛暑日(最高気温≧35℃)は全く観測されていない。その理由は何であろう?

(1)「平均気温」は緯度が低いほど高く、「気温変動幅」(最低気温~最高気温)は海に近いほど小さい

Wikipedia(フリー百科事典)の『気候因子』によると『気温は主に緯度や標高の影響を受ける。ただし、これは平均気温についてであり、気温の変動幅(年較差など)については主に緯度のほか地形や隔海度などの影響を受ける』『緯度が低いほど、また標高が低いほど平均気温は高い。緯度が高いほど、また隔海度が大きい(より内陸にある)ほど年較差は大きく、逆に隔海度が小さい(より海に近い)ほど年較差は小さい』という。

つまり、「平均気温」は緯度が低いほど高く「気温変動幅」(最低気温~最高気温)は海に近いほど(隔海度が小さいほど)小さい。したがって、那覇屋久島は、東京・名古屋・大阪・福岡に比べ、緯度が低いため「平均気温」は高いが、海に囲まれているため(隔海度が小さいため)「気温変動幅」(最低気温~最高気温)は小さくなると推測される。

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(紅葉は、人の目を引き、小さな鳩の群れは、木の大きさを露わにする)

(2)海は陸より「比熱」が大きく、「気温」の影響を受けにくい

それでは、なぜ「気温変動幅」(最低気温~最高気温)は、海に近いほど(隔海度が小さいほど)小さいのだろうか?

地球の表面を構成する海や陸は、太陽からの放射熱や温室効果ガス(二酸化炭素や水蒸気)からの反射熱を受けて温められる。「比熱の小さい土壌」からなる陸は、温度が上昇しやすく、「比熱の大きい海水」からなる海は温度が上昇ししにくい。

したがって、「気温変動幅」(最低気温~最高気温)は内陸にあるほど(隔海度が大きいほど)大きく、海に近いほど(隔海度が小さいほど)小さくなると推測される。

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(左手の低木は梅、右手の高木はクヌギ・コナラ。どんぐりはもう落ちてない)

4.”晩秋(11月)のカブトムシ”の様子

「いろいろなエサを試したが、カブトムシを長生きさせるにはバナナが一番良かった」。9/18ブログ【敬老の日番外編①】で書いた青年の助言通り、2匹目オス(茶)は、バナナを毎日食べて、今日(11/23)で羽化後135日目を迎えた。1匹目オス(赤)より40日寿命を延ばしている。青年が実家から引き取った大きなカブトムシ(たぶん80mm超)は一昨年の11/19まで生きていた。その日よりも4日長く生きている。

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(日中は、飼育ケースの通気性確保のため、段ボールから出して窓際に置く)

しかし、いつ寿命が尽きてもおかしくない状況は変わらない。11月14日に左後ろ足の鍵爪が取れて以来、後ろ足2本が動かない。「木にしがみつく力(体力)」は前足4本しかない。

①夜間は、マットの上に出て活動していること(食事・排泄など)⇒〇。
②木にしがみつく力が強いこと(体力)⇒×。
③日中は、マットの下に潜っていること(休息・太陽光や熱の遮断)⇒×。

札幌で初雪が観測された翌日(11月21日)、東京も最低気温が5.8℃まで下がった。2匹目オス(茶)は、飼育ケースの端に仰向けに転がっていた。死んでしまったかと思ったが、まだ頑張って生きている。

(1)バリアフリー対策

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(11/21撮影、体力の無いカブトムシには、段差を少なくする)

2匹目オス(茶)が仰向けに転がっていた原因は「前足4本だけではバランスを崩して転倒しやすいため」と思われる。そこで、飼育ケース内の段差を出来るだけ無くした。いわゆるバリアフリー対策である。

(2)流動食対策(バナナ編)

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(11/20撮影、体力の無いカブトムシには、液状化したバナナを与える)

①バナナの液状化

カブトムシは、エサを噛むのではなく吸うことによって栄養を体内に吸収する。そのため体力の無いカブトムシには液状化したバナナを与える。いわゆる流動食対策である。

しかし、液状化したバナナは12時間ほど経つと茶色く変色し、表面が固まってしまう。一度冷蔵庫に入れたバナナは常温に戻してから与えるので尚更である。特に高糖度のエクアドル産バナナは普通のフィリピン産バナナより水分が少なく、固まりやすい。

②表面が固まったバナナの除去

バナナの表面が固まると、体力の無いカブトムシは、バナナの水分を吸うことが出来ない。口や鼻がバナナで塞がってしまうこともある。そこで、液状化したバナナの表面が茶色く変色していたら、変色した部分だけをスプーンで除去するようにしている。

(3)流動食対策(昆虫ゼリー編)

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(11/22撮影、バナナと昆虫ゼリー「サムライフラット」のハーフ&ハーフ)

①バナナと昆虫ゼリーのハーフ&ハーフ

エサ皿にはバナナと昆虫ゼリーのハーフ&ハーフをセットしてきたが、これまで2匹目オス(茶)は昆虫ゼリーには見向きもしなかった。しかし、最近昆虫ゼリーも食べるようになった。バナナの表面が固まりバナナの水分を吸うことが出来なくなると、仕方なく昆虫ゼリーの水分を吸っているようだ。

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(「猫草の種」と一緒に通販で購入した「2種類の昆虫ゼリー」)

②最後に別の味を食べさせようと昆虫ゼリーの種類を増やす(「樹液の森」)

先月購入した50個入り昆虫ゼリー「サムライフラット」も毎日無駄に消費していたら、とうとう無くなってしまった。2匹目オス(茶)の寿命が迫っているので、最後に別の味の昆虫ゼリーを食べさせようと思った。

従来の「サムライフラット」(ワイド25個入り¥193)と併せて「樹液の森」(ワイド20個入り¥213)という商品を通販で買ってみた。「樹液の森」は「サムライフラット」に比べ水分が少ない。スプーンで砕くと、2匹目オス(茶)はなんとか食べてくれた。あと何日生きていられるだろうか?

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(11/23撮影、バナナと昆虫ゼリー「樹液の森」のハーフ&ハーフ)

(4)温度管理

11月15日以降、東京の最低気温は10℃を下回り、最高気温も20℃を超えることはなくなった。”秋のカブトムシ”をベランダに出して日向ぼっこさせることは、もう出来ないだろう。室内は猫達のために常時18~22℃を維持している。22℃以上にすると、猫たちは春が来たと思ってベランダで虫探しを始める(外は寒いので30秒以内に部屋に戻ってくる)。

”秋のカブトムシ”も室内温度を22℃以上にすると活性化する。後ろ足2本が動かないのに翼を広げ飛ぼうとする(そのため体力消耗が著しい)。20℃前後だと大人しくバナナを食べている(又は、バナナに顔を突っ込んで寝ている)。

先週、段ボールと飼育ケースの隙間に入れた空間充填材は断熱効果が非常に高い。夜間の室内の温度変化にはこれで十分だと思う(朝方の冷え込み対策用の”湯たんぽ”は不要になった)。

8/21ブログ「カブトムシの寿命が尽きる時期」で述べたように、今年飼育した4匹のカブトムシの中で一番大きかった3匹目オス(黒)は日中ベランダでエサを食べている最中に高温障害で死亡した(8/19)。羽化後37日目の短命だった。もしかしたら、2匹目オス(茶)は、高温障害で先立った3匹目オス(黒)を思って、飼い主が「カブトムシと地球温暖化」を書き終えるのを見届けようとしているのかもしれない。