カブトムシの幼虫、さなぎの育て方2018年

虫好きな猫たちのために、ベランダでカブトムシの幼虫を育てる悪戦苦闘の物語

カブトムシの餌場の秘密④(釣り名人は、カブトムシやクワガタの採集名人でもある理由「魚釣りも昆虫採集も、餌場調査が勝敗を分ける。何事もムリ・ムダ・ムラを省くのが名人の鉄則」

前回、「去年の夏に樹液を出していた木が、翌年も樹液を出すとは限らない。カブトムシやクワガタの餌場(樹液を出す木)は、毎年、刻々と変化するものなのだ。やはり、カブトムシやクワガタを採集するには、毎年、餌場(樹液を出す木)を事前に調査することが不可欠だ」と述べた。しかし、里山や雑木林など、沢山ある樹木の中から「樹液を出す木」を探し出すのは、なかなか大変だ。何か良いコツは無いだろうか?

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1.釣り名人「魚釣りも昆虫採集も、餌場調査が勝敗を分ける。何事もムリ・ムダ・ムラを省くのが鉄則

(1)どの世界でも、その道の「コツ」を熟知しているのが、「名人」と言われる人達だ。都内でも川に釣りに行くたびに、孫のためにカブトムシやクワガタを沢山採ってくる「釣り名人」は多い。郊外の里山でもめったに見かけないヒラタクワガタコクワガタのようにザクザク採ってくる。魚釣りの醍醐味を知っている「釣り名人」は、昆虫採集の醍醐味も知っている。そんな「釣り名人」が指摘するコツは「魚釣りも昆虫採集も、餌場調査が勝敗を分ける。何事もムリ・ムダ・ムラを省くのが鉄則」だと言う。

(2)「釣り名人」は、無闇やたら に釣りをしない。魚が寄り付かない場所でいくら釣り竿を垂らしても時間の無駄だからだ。無駄な労力を避けるために、散歩がてら、川に沿って魚が寄り付きそうな餌場の調査を行う。餌場は季節や天候や気温によって変わるからだ。また、「釣り名人」は、釣りをする時間帯も、ムリ・ムダ・ムラが無い。魚が一番エサを食べる時間帯は、早朝か夕方のほんの数時間だ。「釣り名人」はこの特別な時間帯(朝マズメ・夕マズメ)を狙って釣りをする。猛暑の日照りが続く日中や、足場の見通しの悪い真夜中は、釣りをしない。「ムリな釣り、ムダの多い釣り、ムラのある釣りに醍醐味は感じられない」と言う。

(3)「釣り名人」は、昆虫採集をするときも、ムリ・ムダ・ムラが無い。魚釣りのついでに、孫たちのために採ってくるカブトムシやクワガタも、猛暑の中を無闇やたらと歩き回り、長時間かけて採集するわけではない。日差しが強くなる前に釣りを切り上げ、さあ帰ろうという時に、あらかじめ調べておいた数本の「樹液を出す木」(ドロヤナギ)の下に立ち寄るだけだ。

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2.多くの樹木の中から「樹液を出す木」を探し出す方法

では、どうやって「釣り名人」は多くの樹木の中から「樹液を出す木」を探し出しているのだろうか?「釣り名人」は川辺の樹木を1本1本総当たりで調査しているのではない。ドロヤナギだけを選んで調査しているわけでもない。「釣り名人」は川辺を散歩しながら「樹液が出ていそうな雰囲気」を感じ取るのだ。そうすることで、多くの樹木の中から「樹液が出ていそうな木」を絞り込んでいく。実際に樹木に近づいて、樹液が出ていることを確認するのは10本に1本くらいだ。では、「樹液が出ていそうな雰囲気」とは何だろうか?

(1)まず、「蝶」に教えてもらう。

樹液を出す木の周りには、必ず、小型の蝶が舞っている。クヌギの樹液にもオオムラサキコムラサキゴマダラチョウなどが沢山集まる。目の前にドロヤナギの木があっても、「釣り名人」は蝶が舞っていないければ近づこうともしない。

(2)次に、「カナブン」や「小さなハチ」に教えてもらう。

樹液を出す木の周りには、カナブンや小さなハチが飛んでいることが多い。クヌギの樹液にも日中はカナブンや小さなハチが集まっている。「釣り名人」は「ぶーん」という羽音だけで「樹液を出す木」の存在に気づく。

(3)「樹液の匂い」や「コバエ」に教えてもらう。
樹液の流出箇所から1メートル以内に近づくと、樹液の匂いがしてくる。ドロヤナギの樹液は匂いがあまり無いが、クヌギの樹液は甘酸っぱい匂いがする。さらに近づいてみると「コバエ」が一斉に舞いだす。樹液が近くで流れている証拠だ。

(4)「木くず」に教えてもらう。
「樹木に穴を開ける害虫(カミキリムシやススメバチ)」や「樹木の穴を広げて樹液を流出させる害虫(ボクトウガの幼虫やコウモリガの幼虫)」が樹皮をかじると「木くず」が出る。だから、この「木くず」が袋状に丸まって、木の下に落ちていたり、枝についていたら、その木は樹液を流出させている証拠だ。

(5)「カミキリムシ」や「蛾(が)」に教えてもらう。

このような「樹液が出ていそうな雰囲気」を手掛かりに、実際に「樹液が出ていそうな木」に近づいてみる。たとえ今は樹液が出ていなくても、そこに「カミキリムシ」や「蛾(が)」が居れば、近いうちに木に穴があけられ樹液を流出さると予想出来る。

(5)「ススメバチ」や「ヘビ」が居たら静かに引き返す。

しかし、そこに「ススメバチ」や「ヘビ」が居たら、静かに引き返して次の木を調べる。ムリをしないのが「名人の鉄則」だ。

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3.「釣り名人」が川辺にカブトムシやクワガタが沢山居ることを知っている理由

(1)「釣り名人」と呼ばれる人たちは、魚のエサ選びにもムリ・ムダ・ムラが無い。エサを店で買うのではなく、現地で調達する人が多い。同じ種類の魚でも、最もよく食べるエサは、「その地域・その季節に実際に生息する虫」だからだ。

(2)「樹木の穴を広げて樹液を流出させる害虫(ボクトウガの幼虫やコウモリガの幼虫)」も、実は現地で調達できる釣りのエサなのだ。これらの幼虫は、川辺に生い茂るドロヤナギの木の中に居る事から、「柳虫」とか「ヤナギムシ」という名で、店では高値で売られている。

(3)昔と違って、最近は、エサを使わないルアー(疑似餌)フィッシングが大盛況だ。だから、一般の釣り人で、川辺にカブトムシやクワガタが沢山居ることを知っている人はほとんど居ない。雑木林が少ない都市部では、人が立ち寄らない川辺は、カブトムシやクワガタにとって、最後の楽園なのかもしれない。

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4.台風の接近前後の一週間は、川辺に近寄らない(ムリ・ムダ・ムラの極み)

台風の接近前後は、川の水の勢いが増し、川の水量も短時間で急増するため、川辺は非常に危険な場所になる。台風が去っても、川辺は一面、大量の泥や流木によって埋め尽くされる。そのため、小さな「樹液を出す木」(ドロヤナギ)は、川に流され、大きな木はゴミの山に埋もれる。カブトムシやクワガタの餌場自体がなくなってしまうのだ。台風の接近前後に川辺に行くことは、ムリ・ムダ・ムラの極みなのだ。だから、「釣り名人」は台風の接近前後の一週間は、川辺に近寄らない

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