カブトムシの餌場の秘密②(「樹液を出す木」は樹木に覆われた薄暗い森より、開けた高台や川辺に多い理由「樹液の甘い糖分は光合成により作られる」)
前回、「整備された公園ほど樹液を出す木が少ない。それは、”樹木に穴を開ける害虫(カミキリムシやススメバチ)”を頻繁に満遍なく駆除してしまうため」と述べた。それでは、カミキリムシやススメバチの駆除を行っていない場所なら、例えば、里山や雑木林や川辺には、「樹液を出す木」は、どこにでもあるのだろうか?
1.「樹液を出す木」は樹木に覆われた薄暗い森より、開けた高台や川辺に多い
(1)クヌギ等の広葉樹木に覆われた里山であっても、山を登っていく途中のうす暗い道筋には「樹液を出す木」はほとんどない。明るい日差しが入る道筋か、林が開けた明るい高台まで登らないと「樹液を出す木」を見る事は出来ない。同様に、クヌギ等の広葉樹が沢山ある雑木林でも、うす暗い林の中には「樹液を出す木」はほとんどない。明るい日差しが入る道筋に出ないと「樹液を出す木」を見る事は出来ない。
(2)クヌギ等の広葉樹木がほとんど無い川辺であっても、明るい日差しが入る場所では「樹液を出す木」が多く見られる。例えば、ドロヤナギだ。都内でも日中、川に釣りに行くたびに、孫のためにカブトムシやクワガタを沢山採ってくる「釣り名人」は多い。郊外の里山でもめったに見かけないヒラタクワガタをコクワガタのようにザクザク採ってくる。魚釣りの醍醐味を知っている「釣り名人」は、昆虫採集の醍醐味も知っている。
(3)クヌギ等の広葉樹木がほとんど無い住宅街であっても、明るい日差しが入る空き地や民家の庭先の1本のクヌギが、ある年の夏、突然樹液を出し、日中からカブトムシが何匹も群がっていることがある。これは、「”樹木に穴を開ける害虫(カミキリムシやススメバチ)”」が、その年に初めて、その1本のクヌギに穴を開け、樹液を流出させた結果だ。しかし、同じ住宅街の空き地や民家の庭先のクヌギであっても、薄暗い場所にあると、樹液はほとんど出ない。
2.「樹液を出す木」は樹木に覆われた薄暗い森より、開けた高台や川辺に多い理由
(1)このように、「樹液を出す木」は暗い森より明るく開けた高台や川辺に多い。それは樹液の甘い糖分が光合成により作られるからだ。暗い森より明るく開けた高台や川辺の方が、樹木の光合成が活発になり、その分、樹木が大量の樹液を出すからだ。
(2)クヌギ等の広葉樹木に覆われた里山や雑木林だからと言って、薄暗い林の奥に入ってはいけない。そんな場所には「樹液を出す木」はほとんど無いからだ。出くわすのはヘビかカエルくらいだ。