カブトムシの交尾事故の原因と予防策(「生殖器成熟期間確保(後食日以降1週間)」と「ハンドペアリングによる交尾体勢確保」)
カブトムシを飼育していると、交尾の翌日にカブトムシが死んでしまう事がよくある。交尾の際に、カブトムシの体が損傷する事故だ。多くの場合、致命傷になるため、事故が発生した後の「具体的な対処法は見つかっていない」とされる。
1.カブトムシの交尾事故の例
事故①オスの生殖器がメスの体から抜けなくなる。
事故②オスがメスから生殖器を抜き出す際にメスの体内の一部が一緒に出る。
事故③オスの生殖器が体から取れる。
確かに、このような事故が発生した後では、対処のしようがない。しかし、事故の原因がわかれば、100%ではないにせよ、事前に予防することは可能だ。
2.カブトムシの交尾事故の原因
(1)事故①の原因(交尾体勢を崩す)
事故①は、自然界でもよく見かける。日中の昆虫採集で「木を蹴り、その衝撃で落ちてきた昆虫を拾う」という方法があるが、この時、オスとメスが一緒に落ちてくることがある(カブトムシより、ノコギリクワガタに多い)。大半の場合は、地面に落ちた衝撃でオスの生殖器がメスの体から離れるのだが、交尾体勢を崩したまま落ちるとオスとメスの体が離れない事がある。無理に引き離そうとすると、事故②③につながる。
(2)事故②の原因(生殖器だけが未成熟なメスに対してオスが交尾を迫る)
まず、事故①が起きた場合に、無理に引き離そうとすると事故②につながる。
次に、生殖器だけが未成熟なメスに対してオスが交尾を迫る場合も、事故②につながる。狭い飼育ケース内では自然界と異なり、メスが逃げ場を失うからだ。
(3)事故③の原因(生殖器だけが未成熟なオスが成熟したメスに交尾を迫った)
まず、事故①が起きた場合に、無理に引き離そうとすると事故③につながる。
次に、生殖器だけが未成熟なオスが成熟したメスに交尾を迫った場合も、事故③につながる。
以上、まとめると、カブトムシの交尾事故の原因は「交尾体勢を崩す」「生殖器だけがまだ未成熟」の2点だ。
3.カブトムシの交尾事故の予防策
従って、カブトムシの交尾事故の予防策は以下の2点だ。
(1)「生殖器成熟期間確保(後食日以降1週間)」
生殖器が成熟していないと、事故②③につながる。そこで、生殖器成熟期間として、後食(こうしょく)日以降1週間を確保する。
①後食日(羽化後初めて餌を食べた日)から、1週間は交尾させない。
②採集個体や購入個体など、後食日が不明な場合は、飼育ケースで初めて餌を食べた日)から、1週間は交尾させない。
(2)「ハンドペアリングによる交尾体勢確保」
飼育ケース内の交尾は体勢が崩れやすく、事故①②③につながりやすい。そこで、交尾体勢が崩れないよう、土台や足場を用意し、交尾時にメスやオスが揺れないように交尾体勢を確保する。
①足場(転倒防止材など)を土台(エサ皿など)の上にしっかり立てかける
②メスを足場(転倒防止材など)にしっかり掴ませる。
③オスをメスの背中にしっかり掴ませる。
(メスを足場(転倒防止材など)にしっかり掴ませる)
(オスをメスの背中にしっかり掴ませる)
(すると、オスはメスのフェロモンを感じ取る)
(しばらくすると、交尾が始まる。交尾の際にオスは後ろに反り返る必要がある)
(そのため、土台や足場がしっかりしてないと、交尾体勢が崩れて事故につながる)
(30分経過したころで、メスがオスから逃げようとして体勢が崩れる)
(体勢が崩れても、オスは交尾を止めない。交尾は約1時間続いた)
(飼育ケース内で交尾を自由にさせると、体勢が崩れたままの交尾が何度も繰り返されるので、事故①②③が起こりやすい)
(体勢が崩れても離れるまで待つ。無理に引き離そうとすると事故②③につながる)
(交尾が終わったオスは、餌を食べ始めるが、その際、メスを攻撃することもある)
(そこで、オスとメスが離れたら、メスはすぐに別のケースへ隔離する)