カブトムシの幼虫、さなぎの育て方2018年

虫好きな猫たちのために、ベランダでカブトムシの幼虫を育てる悪戦苦闘の物語

カブトムシの底知れない魅力の秘密(今年でちょうど50年、半世紀に渡る超ロングセラーの理由)

1.今年でちょうど50年、半世紀に渡る超ロングセラー

江戸時代の庶民の間では、「秋の風物詩」として「鈴虫」が飼育されていた。「鈴虫」を養殖する技術もあったほどだ。この頃から、日本には昆虫を飼育する庶民文化があったのだ。こうした日本の昆虫飼育文化を背景に、今から50年前の1968年、デパート・百貨店・スーパーでは「夏の風物詩」としてカブトムシを商品として販売し始めた。採集個体だけでは出荷が追い付かず、1971年(今から47年前)からはカブトムシの養殖も全国的に始まっている。

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(50年前の1968年から販売が始まった「夏の風物詩」カブトムシ)

2.カブトムシの底知れない魅力の秘密(半世紀に渡る超ロングセラーの理由)

商品のライフサイクルが年々短縮化する傾向の中で、半世紀に渡り、販売を持続している超ロングセラーのカブトムシ。そのの魅力の秘密はどこにあるのだろうか?

一般に、「ロングセラー商品の共通項」として以下の5つが挙げられている。

①シンプルなデザインで時代を超えた美しさを持つ。

②使い込むほどよくなる。

③手づくりで念入りにつくられた商品。

④超高級品でマニア向き。

⑤他の競合商品が追随できないほど安い。  

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(47年前の1971年から養殖が始まった「夏の風物詩」カブトムシ)

(1)シンプルなデザインで時代を超えた美しさを持つ(美しい光沢を放つ「兜(カブト)」と「鎧(よろい)」による重量感)

カブトムシのフォルム(外形・形状)は、武士が身に着けていた「兜(カブト)」や「鎧(よろい)」を身に着けているように見える。そのため昔から「昆虫の王様」と呼ばれ、現在でも「子どもが大好きな昆虫のランキング1位」をキープし続けている。

①「兜」(カブト)

カブトムシの名前の由来は、武士が身に着けていた「兜(カブト)」だ。カブトムシの「大きな角」が戦国時代の武将(武田信玄など)がかぶっていた「兜(カブト)」に似ているからだ。

②「鎧」(よろい)

カブトムシは甲虫の仲間だ。甲虫の「甲」は亀の甲羅(こうら)の意味で、亀の甲羅(こうら)のような固く厚い羽(前翅)を持つのが特徴だ。武士が身に着けていた「鎧(よろい)」のように内側の薄く柔らかい羽(後翅)と柔らかい腹部を保護している。 

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(武士が身に着けていた兜(カブト)」や「鎧(よろい)」に似ている)

(2)使い込むほどよくなる(飼育は容易で、飼育・観察するほど興味がわく)

①飼育が容易なカブトムシ

カブトムシの寿命は約1年で、卵 (約2週間)→ 幼虫 (約10か月)→サナギ(約2週間)→ 成虫(約1か月)という成長段階を踏む(完全変態)。カブトムシの卵や幼虫やサナギは地中に居るため、飼育に要する手間がほとんどない。一方、カブトムシの成虫の飼育には、餌やりや掃除など毎日の手間が必要だが、それも夏のわずか1か月だ。カブトムシは、ちょうど子供たちの夏休みが始まった頃に姿を現し、夏休みが終わる頃に消えてゆく夏の風物詩だ。虫嫌いな親たちも「子供のためなら」と何とか我慢できる期間なのだ。 

②飼育・観察するほど興味がわくカブトムシの一生

販売されているカブトムシの飼育用具セットには、成虫飼育セットと幼虫飼育セットが大半だが、中には卵観察用セットやサナギ観察用セットなどもある。このように、成虫の飼育・観察を経験した後でも、次は幼虫の飼育・観察、次はサナギの飼育・観察と、飼育・観察するほど興味がわいてくるのがカブトムシの一生だ。

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(カブトムシの飼育は容易で、飼育・観察するほど興味がわく)

(3)手づくりで念入りにつくられた商品(手づくり以上の自然の賜物(たまもの))

いつの時代も子供たちの心を虜(とりこ)にするカブトムシ。美しい光沢の重量感溢れるフォルム(外形・形状)、見事な流線型を描いた「大きな角」、その先にあるつぶら黒い瞳、あたかも子供たちが持ちやすいように作られた「小さいほうの角」、飛行の時だけ広がる薄く柔らかい羽(後翅)。それらは全て、手づくり以上の自然の賜物(たまもの)だ。 

f:id:chart15304560:20180726220002j:plain(美しい光沢の重量感溢れるフォルム(外形・形状)は自然の賜物(たまもの))

(4)超高級品でマニア向き(角生成メカニズム、超高度な飛行カニズム、超高度な翅格納メカニズム)

大人になってもカブトムシに愛着を持つ人は少なくない。大人になっても飽きさせない不思議な魅力が、カブトムシにはあるのだ。

①角生成メカニズム(「角の謎」分かった 名古屋大など発表、2017年11月2日)
カブトムシの角は、幼虫にあるしぼんだ袋のような組織が、さなぎになる時に膨らんでできることが分かったと、名古屋大などの研究グループが英科学誌に発表した。

②超高度な飛行メカニズム(飛行機のジェットエンジンと翼を兼ね備えた羽(翅))

カブトムシは薄く柔らかい羽(後翅)で飛行機のジェットエンジンのように揚力と推進力を生み出し、固く厚い羽(前翅)は、飛行機の翼のように揚力を上げ平衡を保つ役目を果たす。

③超高度な翅格納メカニズム(「大きな翅をコンパクトに折り畳むメカニズム」)

人間が作るジェット機やドローンは、着地した後に大きな羽(翅)が邪魔になっても、折り畳むことは出来ない。しかし、カブトムシが着地する際には、大きな後翅が邪魔になるので小さな前翅の内側に折り畳んで格納する。このような「大きな翅をコンパクトに折り畳むメカニズム」は、宇宙探査機・人工衛星の大型展開アンテナや空母搭載ジェット機の翼など最先端テクノロジーで必要とされる超高度なメカニズムである。

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(大きな後翅が邪魔になるので小さな前翅の内側に折り畳んで格納するカブトムシ)

 (5)他の競合商品が追随できないほど安い(クワガタに比べ養殖が容易)

①クワガタに比べ養殖が容易

「カブトムシはクワガタに比べ養殖が簡単で安く買えてしまうので、最近の子供は外で捕らずにデパートなどで買うほうが多い」と言われるほど、カブトムシはクワガタが追随できないほど安い。

②オモチャやロボットではカブトムシの精巧な動きを再現できない

現在、宇宙探査機・人工衛星等の先端テクノロジーからドローンの開発に至るまで、様々なコンパクト技術・省エネ技術が必要とされている。そのため大学の研究室では、カブトムシ等の甲虫の「重厚な骨格と精巧な動きの関連」メカニズムの研究が行われている。オモチャやロボットではカブトムシの精巧な動きを再現できないのだ。

3.猫とカブトムシ 

一般に「猫の知能は、人間の3歳程度」と言われるが、そんな猫達は「オモチャは本物ではない」と言わんばかりに、カブトムシに夢中だ。直観力が優れた人間の子供たちと同様に、猫たちは「カブトムシの底知れない魅力の秘密」を知っているのかもしれない。

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