カブトムシの幼虫、さなぎの育て方2018年

虫好きな猫たちのために、ベランダでカブトムシの幼虫を育てる悪戦苦闘の物語

カブトムシの新成虫が初めて地上に出た時に行う「初イベント」(初めての大量排泄→初めての飛行→初めての食事)

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 1.カブトムシの新成虫が初めて地上に出た時に行う「初イベント」(大量排泄→飛行→食事)

カブトムシは、幼虫からサナギになるまでの約1週間、サナギになってからの約2~3週間、新成虫になってからの約1~2週間、体の骨格や内臓が成熟するまで地中の蛹室の中で過ごす。この蛹室の中で過ごす約1か月間は、何も食べない。だから、蛹室の中のカブトムシが地上に出る頃は、空腹の絶頂だ。カブトムシの新成虫は、地上に出ると餌を求め、餌場へ向かって一目散に飛び立つ。

この時、もし、地上に出たカブトムシの目の前に餌があったら、どんな反応をするだろうか?一目散に食いつくだろうか。それとも、やはり飛び立つだろうか?

一目散に食いつくだろう、長い間そう思っていた。しかし、実際は違った。

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(前蛹:幼虫はサナギになる約1週間前から、餌を食べず、排泄もしなくなる)

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(蛹化:幼虫からサナギへ蛹化しても、餌を食べず、排泄もしない)

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(羽化:サナギから新成虫へ羽化しても、餌を食べず、排泄もしない

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(新成虫:新成虫になっても骨格や内臓が成熟するまで、餌を食べず、排泄もしない)

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(後食:羽化2週目に入り、初めて餌を食べ、排泄をし、飛ぶようになる)

今回、4匹のカブトムシの成長を観察して、わかった事実は以下の3点だ。

(1)「初めての飛行」を行うまで、餌を一切食べない。

4匹中3匹は、目の前に餌があっても、羽化後1週間以上、餌を食べた形跡は一切なかった。羽化2週目に入り、「初めての飛行」を行った個体から順に餌を食べ始めた。

(2)「初めての飛行」の際に「初めての排泄(大量排泄)」があった。

「初めての飛行」を行った3匹全てが、飛行の際に「初めての排泄(大量排泄)」を行った。それまでは、餌を食べず、排泄もしない日が続いていたが、「初めての飛行」行った日は、飼育ケースの側面や虫よけシートに大量の白い排泄物の形跡があった

(3)「初めての排泄(大量排泄)」を行うまで、餌を一切食べない。

残り1匹は、羽(翅)に羽化不全があったため、飛べなかった。目の前に餌があっても、餌を食べず、排泄もしない日が続いていた。羽化2週目に入り、初めて餌を食べた。この時、カブトムシの背後の落ち葉の上に、大量の白い排泄物の形跡があった。

以上の事実から推測すると、カブトムシの新成虫が初めて地上に出た時に行う「初イベント」は次の順番で行われる。

①まず、「初めての排泄(大量排泄)」を行う。

②次に、「初めての飛行」を行う。

③最後に、「初めての食事」をとる。

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(1匹目オス(小):初めての大量排泄→初めての飛行→初めての食事)

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(2匹目オス(中):初めての大量排泄→初めての飛行→初めての食事)

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(3匹目オス(大):初めての大量排泄→初めての飛行→初めての食事)

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(4匹目メス(小):羽(翅)に羽化不全、初めての大量排泄→初めての食事)

 2.「初めての排泄(大量排泄)」の正体(蛹室の中で生成された1か月分の排泄物)

カブトムシはサナギになってからの約2~3週間、羽化してからの約1~2週間、餌を食べず、排泄もせず、地中の蛹室の中で過ごす。しかし、餌を食べなくても、体の骨格や内臓を作り出すために、体内ではわずかな老廃物が毎日生成される。しかし、これを排泄する機能もまた未成熟な状態だ。外に排出することは出来ないので、約1か月もの間、この老廃物は体内に蓄積される。体内に蓄積された「1か月分の排泄物」は、排泄機能が成熟した段階、すなわち、カブトムシの新成虫が初めて地上に出た直後に排出される。

夏になりカブトムシの幼虫飼育マットを引っ繰り返すと、サナギと共に、カブトムシの新成虫が出てくることがある。このカブトムシの新成虫を手でつかむと、その瞬間、白っぽい大量のオシッコをかけられることがよくある。それが、この「1か月分の排泄物」の正体だ。

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(餌を食べなくても、体内ではわずかな老廃物が毎日生成される)

3.「初めての排泄(大量排泄)」が「初めての飛行」の際に行われる理由(「初めての飛行」が「初めての排泄(大量排泄)」を促すため)

カブトムシはセミと同じように飛び立つ直前に「排せつ物」を放出することがよくある。それは、体内の「余分な排せつ物」を放出し、少しでも自分の体を軽くして、早く飛ぼうとするためだ。蛹室の中で体内に蓄積された「1か月分の排泄物」は「余分な排せつ物」だ。カブトムシは「初めての飛行」の際に、この「余分な排せつ物」を大量放出し、少しでも自分の体を軽くして、早く飛ぼうとする。つまり、「初めての飛行」が「初めての排泄(大量排泄)」を促すのだ。

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(カブトムシは、自分の体を軽くして、早く飛ぶために、排泄を行う)

4.「初めての排泄(大量排泄)」が「初めての食事」の前に行われる理由(「初めての排泄(大量排泄)」が「初めての食事」を促すため)

「初めての排泄(大量排泄)」が行われたということは、カブトムシの内臓が成熟し、排泄機能が正常に働いたという証拠だ。もし、排泄機能が未熟な状態で「初めての食事」をしたらどうなるだろう。蛹室の中で体内に蓄積された「1か月分の排泄物」に加え、「新たな排泄物」を体内に蓄積することになる。それを避けるためには、「初めての食事」の前に、この「1か月分の排泄物」を体外へ放出する必要がある。

また、新成虫の目の前に餌を置いても1週間以上も見向きもされなかったのは、「1か月分の排泄物」が体内に蓄積されたままの状態では、満腹状態に近く、空腹を感じなかったせいではないだろうか。猫たちは、排便後すぐに空腹を感じるらしく、排便後必ずキャットフードをねだる。10年以上前に飼育していたモルモットも排便後すぐ餌を食べていた。同じように、カブトムシの新成虫の場合も「初めての排泄(大量排泄)」が「初めての食事」を促しているように思われる。  

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(後食前のカブトムシと後食後のカブトムシの活動スタイルは全く異なる)