カブトムシの色の秘密②(「赤カブト」の割合は4匹に1匹、カブトムシの色(黒:茶:赤)の割合は遺伝法則が決定付ける)
1.「赤カブト」は人気があるが、「黒カブト」「茶カブト」と比べて少ない
カブトムシの色は、「黒色」「茶色」「赤色」と様々だが、昔から、子供たちに人気が高いのが赤いカブトムシ、通称「赤カブト」だ。「黒カブト」「茶カブト」と比べて「赤カブト」を見かける機会が少ないからだ。
2.「赤カブト」が少ない理由(保護色として「黒色」や「茶色」に比べて不利)
「赤カブト」が少ない理由は、保護色として「赤色」は「黒色」や「茶色」に比べて不利だからだ。多く餌場が黒色や茶色であり、赤色の餌場が少ないため、カラス等の外敵から身を守る保護色としては「赤色」より、「黒色」や「茶色」を選択した方が有利なのだ。それでも「赤カブト」が存在する理由は、自然環境の急激な変化によって、将来「赤色」を選択した方が有利に働く可能性があるからだ(「種の多様性」)。そして、この「種の多様性」を維持する仕組みが遺伝法則だ。
3.「赤カブト」の割合は、遺伝法則が決定付ける(4匹に1匹)
それでは、「赤カブト」の割合はどのくらいなのだろう。
(1)「優性の形質」は「黒」、「劣性の形質」は「赤」
カブトムシの保護色として、「赤色」は「黒色」や「茶色」に比べて不利に働く。そこで、「優性の形質」は「黒」、「劣性の形質」は「赤」とする。
(2)「優性の法則」
雑種第一代では「優性の形質」(黒)のみが現れ「劣性の形質」(赤)が現れない。
従って、黒カブト(純系)と赤カブト(純系)を交配させると、
(黒×赤)=黒カブトのみが雑種第一代では誕生する。
(2)「分離の法則」
雑種第一代では現れなかった「劣性の形質」(赤)が雑種第二代で分離して現れる。
従って、黒カブト(雑種第一代)同士を交配させると、
(黒×赤)×(黒×赤)=(黒×黒)、(黒×赤)、(赤×黒)、(赤×赤)。
従って、(赤×赤)=赤のカブトムシも雑種第二代では誕生する。
①(黒×黒)=黒カブト
②(黒×赤)=黒カブト
③(赤×黒)=黒カブト
④(赤×赤)=赤カブト
ここで、(黒×赤)=(赤×黒)= 茶カブトとすると、
①(黒×黒)=黒カブト
②(黒×赤)=茶カブト
③(赤×黒)=茶カブト
④(赤×赤)=赤カブト
従って、カブトムシの色の割合は黒:茶:赤=1:2:1となる。つまり、親が黒カブトであっても、「赤カブト」は、4匹に1匹の割合で誕生する(この割合は、現在飼育している4匹のカブトムシの色の割合と一致している)。このように「雑種」という「種の多様性」を通して、黒カブトの親も「赤」の遺伝子を子孫に引き継ぐのだ。