カブトムシの幼虫、さなぎの育て方2018年

虫好きな猫たちのために、ベランダでカブトムシの幼虫を育てる悪戦苦闘の物語

「夏の風物詩、カブトムシ」の世代を超えた人気の秘密(カブトムシは、子供たちの夏休みに合わせて姿を現し、子供たちのお盆の墓参りを見届けて一斉に散ってゆく。その姿を通して、子供たちは「命に限りがある事」を心に刻み、大人たちは残りの人生を照らし合わせ「命の儚さ(はかなさ)」を風情として感じ取る)

1.カブトムシは、クワガタと比べ、圧倒的に寿命が短い

前回、「カブトムシの寿命が尽きる時期」について述べたように、カブトムシの成虫の寿命は平均1.5カ月(1~3ヶ月)と短く、生存期間はほぼ夏季に限定される(初夏、仲夏、晩夏)。一方、クワガタの成虫の寿命は非常に長く一年を超すものも少なくない(ノコギリクワガタミヤマクワガタ3~6ヶ月、コクワガタヒラタクワガタ1~2年、オオクワガタ2~3年)。そのため、クワガタの生存期間は夏季に限定されない。

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(カブトムシは、クワガタと比べ、圧倒的に寿命が短い)

2.カブトムシは、クワガタと比べ、圧倒的に世話がかかる

(1)カブトムシは、クワガタと比べ、毎晩、エサを食い散らかし、大量の排泄を行うため、毎日の餌やりや掃除に手間がかかることも多く、世話がかかる。

(2)カブトムシは、クワガタと比べ、コバエ・ダニ・匂い・脱走・騒音などの対策に気を遣うことも多く、世話がかかる。

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(カブトムシは、クワガタと比べ、圧倒的に世話がかかる)

3.このように「クワガタと比べ、圧倒的に寿命が短く世話がかかるカブトムシ」が、半世紀に渡って圧倒的な人気を誇り、世代を超えて親しまれてきたのは何故だろう?

(1)一見すると、「寿命が長く世話がかからないクワガタ」の方が、「寿命が短く世話がかかるカブトムシ」より、圧倒的に人気がありそうだが、実際は逆だ。事実、「カブトムシは今も変わらず子どもが大好きな昆虫のランキング1位をキープし続けている」。また、ペットショップの売り場を覗いてみればわかるように「親や祖父母が、夏休みに子や孫に薦める昆虫はクワガタより圧倒的にカブトムシの方が多い」。

(2)その理由は、カブトムシはクワガタと違って「季節限定」であるためだ。カブトムシは寿命が短く、生存期間はほぼ夏季に限定される。カブトムシはクワガタと違って「季節限定」であるため「夏の風物詩」として世代を超えて親しまれる。しかし、クワガタは寿命が長く、生存期間は夏季に限定されない。クワガタは「季節限定」でないため「夏の風物詩」に挙げられない。

(3)7月25日のブログ 「カブトムシの底知れない魅力の秘密」で書いたように、「夏の風物詩」としてカブトムシがデパートなどで販売されて、今年でちょうど50年になる。その最大の理由は、カブトムシの「寿命の短さ」にある。生存期間が夏季に限定されるカブトムシは、そうでないクワガタと違って「季節限定」であるため、「夏の風物詩」として、あらゆる世代に「今しかない」と思わせる不思議な魅力がある。

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(カブトムシはクワガタと違って、「寿命が短い」からこそ、「季節限定」の「夏の風物詩」として、半世紀に渡って圧倒的な人気を誇り、世代を超えて親しまれてきた)

4.カブトムシが「夏の風物詩」として、親の世代、祖父母の世代の大人たちにも親しまれる理由(「命の儚さ(はかなさ)を感じさせる寿命の短さ」と「祖先の霊を祀るお盆をピークに寿命が尽きてゆくこと」)

(1)「風物詩(ふうぶつし)」とは、季節特有の現象、文化、味覚、生物など、その季節をより意識に特徴づけることができることだ。

(2)「風情(ふぜい)」とは、日本古来から存在する美意識の1つで、日本の四季が造り出す、儚(はかな)いもの、質素なもの、空虚なものの中にある美しさや趣や情緒を見いだし、心で感じることだ。特に、昔から人々は年を重ねるごとに「儚(はかな)いもの」に残りの人生を照らし合わせ「風情(ふぜい)」を感じとってきた。

(3)日本は四季の違いが鮮明に現れる国だ。だから、昔から人々は年を重ねるごとに「季節特有の風物詩」の「儚さ(はかなさ)」に残りの人生を照らし合わせ「風情」を感じとってきた。例えば、江戸時代の庶民の間では「秋の風物詩」として「鈴虫」が飼育されていた。「鈴虫」は、晩夏(8月上旬)に羽化し、秋の彼岸(9月下旬)をピークに徐々に姿を消してゆく。

(4)現代でも、「桜の花」は「春の風物詩」に挙げられ、「カブトムシ」は「夏の風物詩」に挙げられる。昔から人々は年を重ねるごとに「桜の花」や「カブトムシ」の「寿命の短さ」に「儚さ(はかなさ)」を見いだし、残りの人生を照らし合わせ「風情」を感じとってきたのだ。一年のうち、桜が花を咲かせる時期は、ほんの束の間だ。鈴虫の鳴き声が聴かれる時期も、ほんの束の間だ。それと同じように、カブトムシが姿を現すの時期も、ほんの束の間なのだ。

(5)前回述べたように、大半の普通のカブトムシは、仲夏(7月上旬頃)に羽化し、ちょうど子供たちの夏休みが始まった頃に頻繁に姿を現し、祖先の霊を祀るお盆の墓参りの時期(8月中旬頃)をピークに徐々に姿を消してゆく。

(6)例えば、先日寿命が尽きた2目のカブトムシも、仲夏(7月上旬頃)に羽化し(羽化7/12,12)、ちょうど子供たちの夏休みが始まった頃に頻繁に姿を現し(後食7/20,21)、祖先の霊を祀るお盆の墓参りの時期をピークに徐々に姿を消して行った(死亡8/15,19)。

(7)これを「風情」を添えて表現すれば「桜の花が、あたかも、子供たちの入学式に合わせて咲くように、カブトムシは、子供たちの夏休みに合わせて姿を現す。そして、桜の花が、あたかも、子供たちの新しい門出を見届けて一斉に散ってゆくように、カブトムシは、子供たちのお盆の墓参りを見届けて一斉に散ってゆく」。

(8)このように、カブトムシはクワガタと違って、「夏の風物詩」として親の世代、祖父母の世代の大人たちにも広く親しまれる。その理由は、「命の儚さ(はかなさ)を感じさせる寿命の短さ」と「祖先の霊を祀るお盆をピークに寿命が尽きてゆくこと」にある。

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(カブトムシはクワガタと違って、毎年、子供たちの夏休みに合わせて姿を現し、子供たちのお盆の墓参りを見届けて一斉に散ってゆく)

5.「夏の風物詩、カブトムシ」の世代を超えた人気の秘密

カブトムシは、子供たちの夏休みに合わせて姿を現し、子供たちのお盆の墓参りを見届けて一斉に散ってゆく。その姿を通して、子供たちは「命に限りがある事」を心に刻み込み、大人になってゆく。大人たちは年を重ねるごとに、残りの人生を照らし合わせ「命の儚さ(はかなさ)」を風情として感じ取る。

(1)先週のNHK連続テレビ小説「半分、青い」で、主人公の鈴愛(すずめ)が「祖父(仙吉)の死の意味」を理解できない娘(かの)に、「カブトムシの死」を例えて理解させようとする場面があった。このように、祖先の霊を祀るお盆の時期になると、子供たちは「カブトムシの死」を見つめる機会が多くなる。「カブトムシの死」を通して「命に限りがある事」を心に刻み込み、子供たちは大人になってゆく。

(2)「夏の風物詩」としてカブトムシがデパートなどで販売されて今年でちょうど50年になる。だから、今の子供たちの親の世代も、祖父母の世代も、子供の頃は、祖先の霊を祀るお盆の時期になると、「カブトムシの死」を見つめる機会が多かった。半世紀に渡り、子供たちは「カブトムシの死」を通して「命に限りがある事」を心に刻み込み、大人になってきたのだ。

(3)また、カブトムシはクワガタと違って、毎年、子供たちの夏休みに合わせて姿を現し、子供たちのお盆の墓参りを見届けて一斉に散ってゆく。毎年、祖先の霊を祀るお盆の時期になると、親の世代、祖父母の世代の大人たちは、年を重ねるごとに、残りの人生を照らし合わせ「夏の風物詩、カブトムシ」の「死」を通して「命の儚さ(はかなさ)」を風情として感じ取ってきた。

(4)このように、毎年、祖先の霊を祀るお盆の時期になると、「夏の風物詩、カブトムシ」の「死」を通して、子供たちは「命に限りがある事」を心に刻み、大人たちは「命の儚さ(はかなさ)」を風情として感じ取ってきた。こうした経験が、半世紀に渡り、親から子へ、子から孫へ引き継がれてきた。確かに、カブトムシは、クワガタと比べ、「圧倒的に寿命が短く世話がかかる」昆虫だ。しかし、それを補って余りある魅力がカブトムシにはあるのだろう。これが、「夏の風物詩、カブトムシ」が半世紀に渡って圧倒的な人気を誇り、世代を超えて親しまれてきた人気の秘密である。

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(毎年、祖先の霊を祀るお盆の時期になると、「夏の風物詩、カブトムシ」の「死」を通して、子供たちは「命に限りがある事」を心に刻み、大人たちは残りの人生を照らし合わせ「命の儚さ(はかなさ)」を風情として感じ取ってきた)